突然介護リーダーに抜擢されると、自分に務まるのか不安に感じる方もいるでしょう。介護リーダーの役割や業務がわからないまま任されると、プレッシャーに押しつぶされそうになる恐れもあります。
この記事では、介護リーダーを突然任された介護職員の経験をもとに、悩みの解決法や介護リーダーの役割、求められる能力について解説します。
この記事を読めば、介護リーダーについての理解が深まり、自信を持って介護リーダーとして活躍できるようになるでしょう。
目次
介護リーダーとは
介護リーダーとは、現場の介護職員をまとめ、介護現場の円滑な運営を担う存在です。
他の職員とともに介護業務をおこないながら、他部署との連携や介護職員の育成といったマネジメント業務も担当します。
介護リーダーはユニットリーダーと異なり法的な配置義務はありませんが、職員をまとめる役割として配置されることが一般的です。介護リーダーがいない場合、職員がそれぞれ異なる方法でケアをしてしまい、質の高いケアの提供が難しくなったりチームワークが低下したりするリスクがあるからです。
なお、介護リーダーは施設によって「介護主任」と呼ばれることもあります。また、現場での介護業務とマネジメント業務の割合は、施設の規模や体制によって異なります。
【体験談】介護リーダーになって感じた悩みと解決法
吉川さん(仮名) 26歳 女性 介護職4年目
特別養護老人ホームでリーダー職を経験されている吉川さんの体験をもとに、介護リーダーが感じやすい4つの悩みと、解決法をあわせて紹介します。
業務量が多い
介護リーダーは現場の通常業務だけでなく、シフト作成や研修の企画などのリーダー業務もこなすため、仕事量が多いです。多くの業務をこなすことで疲労が溜まりやすく、肉体的にも精神的にも負担が大きくなりやすいでしょう。
吉川さんも業務量の多さに悩み、他の介護リーダーに相談したそうです。そして、「リーダー業務はリーダーにしかできないため、他の仕事を周りに振ることが大切」とアドバイスを受けたそうです。
吉川さんは抱えている業務を見直し、物品の管理や行事の企画などは周りの職員へ任せるようにしました。また、ご利用者ごとに担当職員を決め、ケアプランの見直しも手伝ってもらうようにした結果、業務負担が軽減されました。
業務を周りに任せることは、職員の成長にもつながります。すべての業務を自分で抱え込まず、周りの協力も得ながら業務を進めていきましょう。
現場の職員への指導がうまくかない
介護リーダーにとって、現場の職員への指導は大きな悩みの一つとなります。
「強く言いすぎると辞めてしまうのではないか」と不安を感じ、注意しづらいこともあるでしょう。特に、自分より年上だったり職歴が長かったりする職員に対しては、指導の難しさをより一層感じやすくなります。
吉川さんは悩みを解決するために、自分が担当する部署の前リーダーに年上の職員への接し方について相談しました。その際、相手の経験や考え方を尊重しながら自分の意見を伝えるようアドバイスをもらったそうです。
具体的には「〇〇という考え方もできますが、今回はこのようにしてみませんか」と提案する方法を実践しました。伝え方を意識することで、相手の意見を否定せずに自分の意図を伝えやすくなったそうです。
さらに、介護リーダーになってからも以前と変わらずコミュニケーションを積極的に取り、信頼関係が維持できるよう努めました。信頼関係が築かれていると、年齢や職歴に関係なく、指導やアドバイスを受け入れてもらいやすくなったそうです。
また、経験豊富な年上の職員に迷った際に意見を求めることで、お互いの信頼関係が深まり、より良いチームを作りやすくなります。
現場職員と上司の板挟みになる
介護リーダーは現場の職員の要望を聞いたり、上司の意向を聞いたりする立場のため、板挟みになることもあります。双方の意見を調整する役割を担うため、精神的な負担もかかりやすいです。
吉川さんは、他の介護リーダーに悩みを相談し、どのように対処したのか聞いてみたそうです。他の介護リーダーと悩みを共有することで、孤独感が軽減されるだけでなく、思わぬ解決策が見つかることもあります。
なお、他の介護リーダーも同じような悩みを抱えている場合は、複数人で上司と話し合う場を設けるのも一つの手です。また、現場の職員には気持ちへの共感を示しつつ、要望を通すのが難しい理由も伝え、代替案や解決策について一緒に考えられるよう促してみるとよいでしょう。
現場の職員をうまくまとめられない
介護現場にはさまざまな考えや経験を持つ職員がいるため、全員をまとめるのは簡単ではありません。うまくまとめられない自分に介護リーダーが務まるのかと、不安やプレッシャーを感じてしまうこともあります。
吉川さんはチームをまとめるヒントを得るために、リーダーシップに関する本を読んでみました。また、他の介護リーダーにどのように職員をまとめているのか尋ねてみたそうです。
さらに、会議がまとまらずに長引かないよう、話し合う内容をレジュメで共有しておき、職員に意見を考えてきてもらうようにしました。また、会議の終了時間も決めておき、効率的に話し合いが進むよう意識したそうです。
体験を通じて気付いた介護リーダーの3つの役割
吉川さんが介護リーダーを実際に務めて気付いた役割を3つ解説します。介護リーダーの役割がいまいちわからないと感じている方は、ぜひ参考にしてください。
現場の介護業務が円滑に進むよう調整する
介護リーダーの役割の一つ目は、現場の介護業務が円滑に進むよう調整することです。以下は、介護リーダーの調整業務の具体例です。
ケアプランの作成や見直しのサポート
介護記録の管理
施設内の会議や委員会への参加、および現場職員への内容伝達
介護リーダーは常に現場で問題が起こっていないか目を配り、職員が働きやすい環境を作る役割を担っています。
介護職員を指導し育成する
介護リーダーの役割の二つ目は、介護職員を指導し育成することです。より質の高いケアを提供するためには、職員のスキルアップが重要です。
介護リーダーは、担当部署の介護職員に対してアドバイスするだけでなく、施設内の全職員を対象とした研修を企画し実施することもあります。
さらに、新入職員をOJTで育成する場合は、指導する職員の相談役としてアドバイスをします。OJTとは、先輩職員が指導役となり、実務を通じて育成する手法のことです。
また、介護の資格取得を目指す実習生の受け入れを担当したり、採用活動に関わったりすることもあります。
ご家族や他職種・管理職とのやりとりの窓口となる
介護リーダーの役割の三つ目は、ご家族や他職種、管理職とのやりとりの窓口となることです。ケアマネジャーや看護師、栄養士といった他職種と連携することで、ご利用者に適したケアを提供できます。
また、現場の声をまとめ、管理職へ伝えることも介護リーダーの役割です。
さらに、緊急時や事故発生時には、ご家族とのやりとりの窓口となります。介護リーダーの不在時に救急搬送や事故が起こってもスムーズに対応できるよう、緊急連絡先や緊急時にご家族へ伝える内容を職員と共有しておく必要があります。
体験を通じて気付いた介護リーダーに求められる5つの能力
吉川さんが介護リーダーに求められると感じた5つの能力を紹介します。1つでも求められる能力を自分が持っているとわかれば、前向きに介護リーダーの仕事に取り組みやすくなるでしょう。
介護に関する高い知識やスキル
介護リーダーは現場の職員を指導する立場のため、模範となる介護に関する高い知識やスキルが求められます。ご利用者一人ひとりに合わせたケアを検討するためにも、知識やスキルは必須となります。
介護に関する高い知識やスキルを持つ介護リーダーがいると、現場の職員も困ったときに介護リーダーに頼れる安心感があり、働きやすくなるでしょう。
誰とでもコミュニケーションを取れる力
介護リーダーはご利用者やご家族、他職種などとのやりとりの窓口となるため、誰とでもコミュニケーションを取れる能力が求められます。「報告・連絡・相談」を意識することで、風通しのよいチームを作ったり、ご利用者やご家族との信頼関係を築いたりしやすくなるでしょう。
また、介護リーダーが関わるご利用者や職員などの中には、自分の思いをうまく表現できない方や、本音を隠してしまう方もいます。変化にいち早く気づけるよう、目線や表情といった言葉以外の情報にも注意を向け、丁寧に話を聴くよう心がけましょう。
状況を冷静に判断し決断する力
介護の現場では日々さまざまな問題が起こるため、状況を冷静に判断し、決断する力が介護リーダーには必要です。特に、緊急時や事故発生時には、現場の職員へどのような指示を出すか迅速に判断することが求められます。
また、緊急時だけでなく、職員の意見が割れたときや欠勤者が多く人員配置を見直すときなど、介護リーダーが状況判断し決断する力を発揮する場面は多いです。
介護職員をまとめるリーダーシップ
現場の職員から「この人についていきたい」と思ってもらえるよう、介護リーダーには職員をまとめるリーダーシップが求められます。
施設の理念を達成するために現場の職員が一丸となって取り組める目標を設定し、全員が同じ方向を目指してケアをおこなえる環境を作るのが介護リーダーの役目です。
周りを引っ張っていくためには、介護リーダーが率先して業務に取り組む姿勢を見せる必要があります。また、職員が気軽に話しかけられる雰囲気を作れるよう、笑顔で明るく接するよう心がけましょう。
介護職員のモチベーションを保つ指導力
介護リーダーには、現場の職員一人ひとりに合わせて技術や仕事に対する姿勢をアドバイスできる指導力が必要です。職員の技術が向上すると、ご利用者へのケアの質も高まります。
指導方法によっては職員が「怒られた」と感じ、モチベーション低下につながる可能性もあります。職員が指導内容について納得できるよう、根拠や解決策も具体的に伝えるようにしましょう。
もちろん、ご利用者の状態に合わせたケアをおこなった職員をしっかりとほめることも大切です。
指導に対する感じ方は職員によって異なります。普段のコミュニケーションを通じて職員の性格や考え方を知っていき、一人ひとりのモチベーションを保てる指導方法を探していきましょう。
周りの力も借りながら介護リーダーとして活躍しよう
介護はチームで取り組む仕事であるため、介護リーダーも一人ですべてを抱え込む必要はありません。他の介護リーダーや上司、現場の職員たちの力を借りながら、チーム全体で課題を解決していくことが大切です。
介護リーダーに求められる能力を持っていなくても、経験を積む中で徐々に身に付いてくる場合もあります。上司が「あなたならできる」と信じて任せているため、自信を持って介護リーダーとして活躍してください。
なお、周りと業務を分担したり、他の介護リーダーや上司に相談したりしても負担を感じる場合は、介護リーダーを降りることも可能です。また、ケアマネジャーや生活相談員を目指したり、リーダーの業務量や役職手当などが自分に合う施設へ転職したりするなど、次のキャリアへつながる選択肢もあります。
介護リーダーに挑戦することで新たな能力を身に付けられ、将来の可能性を広げられるでしょう。


