保健師と看護師の違い|夜勤が難しくなった看護師が選んだ“保健師”という働き方

仕事を選ぶうえで、自分のライフステージに合った働き方を選ぶのは大事なことですよね。
結婚、出産、子育て、親の介護など、人生の節目ごとに求められる役割は変わっていきます。
環境や状況に合わせた働き方を選択できる時代になっている昨今、「今の自分」に合った選択をすることが大切になってきます。

看護師として、夜勤なしの働き方を考えたとき、また、働き方そのものを変えたいと思った時、外来やクリニックだけでなく、「保健師」という選択肢があることをご存じでしょうか。

今回は、長年病棟看護師として働いた後、保健師として働く道を選んだ泉さん(仮名)のお話をもとに、看護師と保健師の違いや、保健師という働き方の魅力について紹介します。

看護師でも夜勤なしで働ける?子育てをきっかけに考えた転職

インタビュアー
本日はお忙しいところありがとうございます。泉さんは現在、保健師として働いているそうですが、以前は病棟の看護師をされていたんですね。早速ですが、看護師から保健師に転職したきっかけを教えてください。

泉さん
私は新人の頃から看護師として働いていました。看護師という仕事が好きでしたので、夜勤もさほど苦痛に思いませんでした。でも、独身の頃はよかったんですが、妊娠、出産を経て、「夜勤がない働き方に変えたい」と思うようになりました。

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子育てを機に「夜勤が難しい」と感じた理由

泉さん
結婚後も病棟看護師として働いてきたのですが、妊娠中はお腹の赤ちゃんと自分の体の事を考え、徐々に夜勤を減らしてもらっていました。その時に、いかに夜勤が体に負担がかかっているかを実感したんです。
子供を産んでからは、「子供が小さいうちは、できるだけ子供の傍にいたい」と思うようになり、夜勤のない働き方に転向しようと思いました。

インタビュアー
看護師の仕事は体力勝負と聞いたことがあります。やはり体力面も転職を考えたきっかけの一つでしたか?

泉さん
そうですね、子供が小さいうちは、やはりお世話にも手がかかりますし、そのうえ家事もするとなると、一日がバタバタと終わってしまいます。
そのため、夜勤明けであっても、自分の体をゆっくり休めることができず、無理が募ってしまっていました。

また、子供の体調不良などで、夜勤の日にどうしてもお休みをもらわないといけないことがありました。
やむを得ないとはいえ、急遽夜勤を代わってもらうというのはとても難しく、代わってもらえたとしても、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
自分の体力もですが、子供が小さいうちは体調を崩しやすいという事を考えた時、働き方を見直すきっかけになりました。

保健師資格が広げた転職の選択肢

インタビュアー
夜勤がない働き方の中で、“保健師”を選んだのはなぜですか?

泉さん
外来や、クリニック、健診センターや企業の看護師など、看護師として夜勤がない働き方を選ぶこともできました。

ただ、働き方を考える中で、“治療”よりも、“予防医療”に興味が湧くようになったんです。
もともと保健師の資格は持っていたため、この機会に保健師に転職しようと思いました。

保健師と看護師の役割の違いとは?治療から予防へという視点の切り替え

インタビュアー
予防医療とは、具体的にどんなことをするのですか?

泉さん
看護師は、すでに病気や症状を抱えている方に関わることが多いのに対し、保健師は基本的には健康な方に関わることが多いです。
その方の生活習慣や環境などにフォーカスし、生活習慣病やメンタルヘルスケアなど、将来起こりうるリスクを考え、“健康を維持するため”に、健康指導や健康相談、健診などを通じて関わっていきます。
それは看護師で働いていた時とは違う視点だと思いました。

保健師の仕事とやりがい|看護師から転職して感じた“違い”

インタビュアー
看護師と保健師は、仕事内容が全然違うのですね。

泉さん
そうですね。病院の看護師は、処置やケアも多く、動き回っていることが多いです。
それに対して保健師は、事務作業や会議なども多いので、臨床でバリバリ働くのが好きな方には合わないと思うかもしれません。
でも、健康な人を対象とする分、急変や重症ケアなどの現場に比べ、身体的な負担は比較的軽いと思いました。

インタビュアー
保健師ならではの仕事の難しさもありますか?

健康な人の意識を変える難しさ

泉さん
私が一番感じたのは、「健康な方に健康意識を向けてもらうこと」です。
看護師として働いていた時は、すでに病気や不調を抱えている患者さんと関わるため、生活習慣の見直しや改善について説明した時にも、耳を傾けてもらいやすかったように思います。
しかし保健師は、基本的には“今は大きな不調がない健康な方”と関わるため、困っている症状がない場合、生活習慣の見直しや将来の病気予防についての話をしても、なかなか自分ごととして受け止めてもらえないことがあります。特に学生さんや体力に自信のある若い方を対象にするときには、聞き流されていると感じることも多く、とても難しいと感じます。

インタビュアー
なるほど、私も元気な時はなかなか自分の健康について意識が向いていないような気がします。
保健師の仕事にやりがいを感じる場面はありましたか?

泉さん
定期的に健診を受けている方が、私の事を覚えてくれていることもあり、「この前教えてくれたこと、やってるよ。だから今も元気に過ごせているよ。」と声をかけてくれることがありました。その時は本当に嬉しく、とてもやりがいを感じました。
「今は元気だから大丈夫」で終わらないように、少しでも自分の健康に目を向けるきっかけになると嬉しいですね。

保健師の資格はどう取る?

インタビュアー
看護師とは違うやりがいや難しさがある仕事なんですね。
保健師の魅力が伝わってきました。実際保健師になるには、どういったルートがあるのでしょうか?

泉さん
保健師になるには保健師国家試験に合格する必要があります。
でも、保健師資格を取っただけでは保健師として働くことはできず、看護師国家試験合格が必須になっています。

保健師への道の選択肢は①保健師過程を設けている4年制大学へ入学する。②看護師資格を取得後に保健師の養成学校や大学へ編入する。のいずれかになります。
私は4年制大学へ入学したのですが、4年生の時の国家試験は看護師と保健師のダブル受験をしなければならず、勉強がとても大変でした。
看護師として働いた後に保健師養成学校へ入学する方法もありますが、働きながらというのは難しく、休職もしくは一旦職場を辞めてから入る方が多いようです。

インタビュアー
保健師の就職先は多いのでしょうか?

泉さん
保健師の仕事は、カレンダー通りで、なおかつ夜勤がない働き方ができる職場がほとんどです。
しかし、看護師に比べると募集枠は少ないです。
年齢を重ねても働けることから、看護師に比べ離職率が低く、なかなか空きがなく、狭き門だと思います。

私も看護師経験を経て保健師に転職しましたが、看護師を経験したからこそ、先を見据えた話ができます。
それまでの看護師経験が活かせるので、最初から保健師に絞らず、看護師として臨床を見てから徐々に保健師への転職も視野に入れるという選択肢もいいと思います。

まとめ

泉さんの話を通して、「保健師」という働き方をご紹介しました。

看護師として、夜勤なしで転職する道はあります。
しかし、選択肢を増やす”という意味では、保健師の資格を持っていると強みになるようです。
看護師として臨床経験を積んだからこそ、保健師として伝えられることもあります。
ライフステージが変わっていくとき、働き方の選択肢が多いとは強みになりますね。

これから看護師を目指す方も、現役看護師としてこれからの働き方を考えている方も、
「保健師」というキャリアを、一つの選択肢として考えてみてもよいのかもしれません。

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