重度訪問介護は、重い障害を持つ方の在宅生活を支える仕事です。
今回、インタビューを実施した森田さん(仮名)は、高齢者介護から未経験で重度訪問介護に転職した介護職の方です。
森田さんにお話を伺うと、「重度訪問介護の特徴」「重度訪問介護と高齢者介護の違い」「重度訪問介護が向いている人の傾向」がみえてきました。
重度訪問介護や障害分野で働くことに興味のある方、転職を検討している介護職の方はぜひ参考にしてみてください。
インタビュー対象者
森田さん 39歳
特別養護老人ホームやデイサービスセンターの現場で働いた後、未経験で重度訪問介護の介護職に転職。
目次
重度訪問介護とは?高齢者介護との3つの違い
重度訪問介護とは、重度の知的障害や精神障害、四肢の麻痺などにより常に介護を必要とする方を支援する仕事です。
参考:厚生労働省|重度訪問介護
参考:独立行政法人福祉医療機構 WAMNET 重度訪問介護
森田さんは、重度訪問介護に転職してすぐ、「思っていた訪問介護と全然違う」と感じたと言います。
訪問時間の長さや業務範囲の広さに、「これ、本当に自分一人でやるの?」と戸惑う場面も多かったそうです。
そんな森田さんが実際に働いてみて感じた、重度訪問介護と高齢者介護の3つの違いについて伺いました。
①1日の流れ
訪問介護は日中に訪問するのが一般的で、訪問時間は1時間~2時間くらいと短めです。 重度訪問介護は、1回の訪問時間が長めで、利用者さんによっては、朝から夕方まで支援するケースもあります。夜勤なら夕方から翌朝までが勤務時間です。 最初にシフトを見たときは、「1人の利用者さんとこんなに長く一緒にいるの?」って正直思いました。 下表は、森田さんに伺った重度訪問介護の一日の流れです。 重度訪問介護の特徴について、森田さんは以下のように教えてくれました。 ※夜勤の勤務時間については、このあとの「重度訪問介護が向いている人」で紹介します。 森田さんに、利用者さんとの距離感について伺いました。 たとえば、僕が約3年訪問している利用者さんとは、兄弟のような近い距離でコミュニケーションを取っています。 ただし、すべての利用者さんとの距離が近いわけではありません。相手に合わせた対応も必要です。1人の時間が好きな利用者さんには「沈黙・見守り」で対応する。物事を決めるのが苦手な利用者さんには「提案」をする。 重度訪問介護の介護職には、利用者さんの特徴や性格、家族の希望などに合わせた柔軟な対応が求められます。 重度訪問介護の業務内容について伺いました。 障害支援区分とは、日常生活や社会生活を送るうえで必要な支援を総合的に示すものです。区分1~区分6があり、数字が大きいほど支援の度合が高くなります。 たとえば、排せつの際は、私が本人を抱えてズボンを下ろし座ってもらうまでを介助します。基本は介護職1人で対応しますが、体重のある方の場合、2人で対応することもありますよ。 森田さんは、高齢者と障がい者では同じ介助でも気を遣うポイントが違うと言います。 たとえば、トイレ介助でズボンを下ろすときは「失礼します」「ズボンを下ろしますね」などと一言声をかけるのが適切ですよね。 でも、重度訪問介護では「ズボンを下ろすよ」「しっかり立っててね」といった声かけの方が良いケースもあります。敬語が苦手な利用者さんにとって、親しみのある対応の方が安心するんですね。 森田さんからみた「重度訪問介護が向いている人」の傾向は、以下の内容です。 重度訪問介護が向いている人の傾向 最初は緊張するかもしれませんが、それは利用者さんも同じ。少しずつ関係を築いていけばいいと思います。 あと、自分の長所をいかして利用者さんを支援できる点は、重度訪問介護のやりがい・楽しさじゃないでしょうか。 たとえば、食事作りが得意な人は、相手の人の好きな献立で料理を作って喜んでもらえる。アウトドアが好きな人は、利用者さんの外出支援に楽しみながら取り組めると思います。 森田さんに「重度訪問介護が向いていない人」の傾向を伺いました。 向いていない人の傾向 「1人対応は絶対にできない」「不安が大きすぎる」という方は向いていないかもしれませんね…。 ただ、現場ではスマホのLINEや直通の電話などで介護職をサポートする体制も整っています。 私のケースですが、利用者さんが急に発熱したことがありました。 重度訪問介護の現場では、利用者と介護職を支援する体制が整えられているようです。 続いて、重度訪問介護の夜勤業務についても伺いました。 勤務時間を長いと感じる人もいますよね…。ただ、高齢者施設と比べて、重度訪問介護の夜勤はまとまった休息時間を取りやすいと感じました。私はそんなにつらいと感じませんでした。 高齢者施設で働いていた頃は、コール対応や巡回などで休む暇がありませんでしたが、重度訪問介護では、3~4時間の仮眠が取れたりして、余裕を持って働けることが多かったです。 今回は、重度訪問介護の特徴や高齢者介護との違いを森田さんにお伺いしました。これを読んだあなたは、どのような感想を持たれたでしょうか。 同じ福祉の仕事でも、高齢者介護と障がい者介護は「1日の流れ」「利用者さんとの距離感」「業務内容」などが大きく違うようですね。 次回は、「高齢者分野でうまくいかなかった介護職が、障害分野でうまくいく可能性」について森田さんにお伺いします。ぜひ次回もご覧ください。
高齢者分野では、利用者の自宅にお伺いする仕事は「訪問介護」です。重度訪問介護もお宅を訪問する仕事ですが、その中身は大きく違います。
時間
業務
9:00~11:30(Aさん宅訪問)
掃除・洗濯・排せつ介助・見守りなど
11:30~13:00
事務所で待機・休憩時間・移動時間
13:00~18:00(Bさん宅訪問)
買い物・食事の準備・食事介助・入浴介助など
18:00
退勤(直帰)
②利用者との距離感
重度訪問介護は、基本的に利用者さんと1対1で関わるので、距離感は自然と近くなりますね。
③業務内容は身体介助が中心
重度訪問介護の利用者さんは、障害支援区分(※)が4以上の方です。業務内容は、入浴、トイレ、食事の介助(食事の支度を含む)などの身体介助が中心です。
私が担当している方は、障害支援区分6の方です。下肢に麻痺があるため歩行はできませんが、座位は保てます。
高齢者介護では、自分より年齢が上の人を介助することが多いですよね。なので、介護職は相手を敬う言葉かけや態度を大切にします。
高齢者介護から転職してわかった「重度訪問介護が向いている人」
重度訪問介護は、1対1での関わりが基本です。そこに苦手意識を感じない方は、重度訪問介護が向いていると思います。
重度訪問介護は、利用者さんをマンツーマンでみなくてはいけません。たとえば、訪問中に体調不良などがあったら、その場にいる介護職が対応することになります。
そのときは、利用者さんを支援している複数のワーカーが登録されている「〇〇さん支援グループ」というグループラインに連絡しました。訪問看護師や事業所の責任者の方から、具体的な指示やサポートをもらえましたよ。
夜勤の勤務時間では、長いときで16時から翌9時くらいまで勤務します。
まとめ


