介護が必要な高齢者とその家族を支援する「介護職」は、やりがいや魅力にあふれた仕事です。
前回の記事では、未経験から介護職へ転職した30代男性桜田さん(仮名)の体験談を基に、介護職に転職する人の割合や桜田さんの「やりがい」を紹介しました。
一方で、介護現場には“むずかしさ”や“注意点”も存在します。やりがいや魅力だけでなく、“むずかしさ”や“注意点”を押さえておくことで、介護職という仕事をより具体的にイメージできるでしょう。
後編では、桜田さんが実際に体験したギャップや、未経験者が知っておくべきポイントを詳しくお伝えします。「介護職は何が大変なの?」「介護現場で働くとき、どんなところに注意したらいい?」と疑問をお持ちの方は、ぜひご覧ください。
目次
介護経験なしの30代男性が感じた介護現場の注意点
桜田さん(仮名) 30歳 男性
桜田さんが未経験から介護職に転職して、驚いたことや不安に感じたことを紹介します。実体験を通じて、介護現場の難しさや注意点をみていきましょう。
専門用語が多い
介護職になった桜田さんがはじめに驚いたことは、“介護に関する専門用語の多さ”だったと言います。
「入職初日から聞き慣れないカタカナ言葉や英語が飛び交っていて驚きました。同僚や看護師が話す『バイタル』『ADL』『既往歴』『サクション』といった言葉を聞いて、何を言っているかわからない!と焦ったことを覚えています。」
介護現場のスタッフは、専門用語を使用してコミュニケーションを行っています。そのため、専門用語が理解できないと、同僚の介護職や看護・リハビリ職とのコミュニケーションに苦労するそうです。
ただし、桜田さんの現場では、先輩介護職がつきっきりで新人介護職をサポートしてくれたと言います。また、桜田さんはポケット判の「介護用語辞典」を携帯して、慣れない専門用語が出てきたらチェックしていたそうです。
「専門用語がわからないと、最初の頃は焦ったり不安になったりします。ですが、全ての専門用語を覚える必要はありません。現場で繰り返し使用される用語だけ覚えておけば、日常業務は滞りなくこなせます。」と教えてくださいました。
前職に比べて「手取り」が減った
桜田さんは、介護職に転職してから給料の手取りが減ったそうです。
「前職は大手家電メーカーの役職者で、決して低くはない給料をもらっていました。介護職になって最初の給料明細をみたとき…。覚悟はしていましたが、金額の落差にショックを受けました。」
厚生労働省が公表した「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、月給・常勤で働く介護職の平均給与額(※)は月給33万8,200円。決して少ない金額とはいえませんが、働く人によって前職の給料との間に差が生じるかもしれません。
※基本給×実働労働時間+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)
参考:厚生労働省|令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果
介護職の給料は施設で変わる
介護職の給料は、働く介護施設によって変動するそうです。
「夜勤手当のある介護施設へ入職すれば、もう少し手取りが多くなったかもしれません。ですが、私が働くデイサービスセンターでは夜勤業務がありませんでした。」
桜田さんによると、夜勤業務につくと夜勤手当が支給されるため、手取りが増えるそうです。夜勤業務のある介護施設とない介護施設は、以下のようにわかれていると言います。
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
介護老人保健施設
有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
サービス付き高齢者向け住宅
小規模多機能型居宅介護
デイサービス(通所介護施設)
デイケア(通所リハビリテーション)
ホームヘルパー(訪問介護)
とはいえ、介護職の給料は資格取得や施設選びによって改善できそうです。
「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」をみても、国家資格「介護福祉士」を取得した職員の給料は、無資格者や他の資格所持者よりも高い傾向にあります。
女性が多い現場で感じたギャップ
介護現場は、男性職員よりも女性職員が多い職場です。桜田さんも、前職と介護現場との違いに戸惑ったと言います。
「前職はどちらかといえば男社会でしたが、介護現場は女性が多い職場ならではの独特な空気がありました。」
「女性介護職が陰で私の悪口を言っていたり、特定の女性職員同士がいつも固まって仕事をしていたり…。女性が多い職場ならではのコミュニケーションの特徴を実感しました。」
桜田さんも介護現場では、女性特有の人間関係にギャップを感じているようでした。こうした悩みを抱える男性介護職は多いようです。男性介護職が女性の多い職場で働くときの悩みや解決策を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
【体験談】男性介護職が女性の多い職場で働くときの悩みと解決のヒントを紹介
未経験者こそ知っておきたい体の守り方
桜田さんは、介護職を検討している未経験の方に向けて「介護未経験だからこそ、体の守り方を知ってほしい。」と話されました。
「腰や肩、肘や手首などは、普段の介護業務で日常的に使う箇所です。一度傷めてしまうと、仕事を続けるのがつらくなります。介護職を続けるには、体が大切です。未経験者だからこそ、正しい介助方法を身につけて大切な体を守ってほしいです。」
桜田さんに正しい介助方法を身につける方法をたずねると、以下の例を教えてくれました。
- 介助の上手な先輩に教えてもらう
- 研修・講習などで講師の方に教わる
- 同僚や友人などに利用者役になってもらい、介助の練習をする
- お風呂に入ったりマッサージをしたりして体を労わる
桜田さんによると、新人介護職の頃は、自信のなさや焦りなどから利用者の介助を急いでしまうことがあるそうです。
「新人介護職の頃は、一つひとつの動作を丁寧にやりましょう。たとえ時間がかかっても、雑に介助するより丁寧にやる方が利用者は喜んでくれます。」
新人の頃に正しい介助のやり方を身につけておくことが、介護職を無理なく続けるポイントのようですね。
◆東京 未経験OKの求人を見る
◆横浜 未経験OKの求人を見る
◆大阪 未経験OKの求人を見る
◆宮城 未経験OKの求人を見る
◆長野 未経験OKの求人を見る
◆広島 未経験OKの求人を見る
◆福岡 未経験OKの求人を見る
◆北海道 未経験OKの求人を見る
◆全国の未経験OKの求人を見る
国内の現状と介護職の将来性
高齢者福祉や介護業界の現状はどうなっているのでしょうか。また、介護職の将来性は高いのでしょうか。
ここで、内閣府ホームページで公表されている「令和7年版高齢社会白書」を参考に、国内の高齢者福祉の現状と介護職の将来性を紹介します。
超高齢化社会、介護職の現状と今後の展望
「令和7年版高齢社会白書」によると、令和6年10月の日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口の割合)は29.3%です。日本の総人口1億2,380万人のうち、3,624万人が65歳以上の高齢者となります。
同資料によると、日本の高齢化率は下表のように推移すると推測されています。
| 年数 | 2030年 | 2035年 | 2040年 | 2045年 |
| 高齢化率 | 30.8% | 32.3% | 34.8% | 36.3% |
※令和7年版高齢社会白書 第1章 高齢化の状況を基に作成
高齢者の割合が増加すると、介護の専門家である「介護職」は多くの介護施設で必要とされるでしょう。
実際に介護業界では、介護職員等の人件費改善を目的とした「介護職員等処遇改善加算」を導入する介護施設が増えているようです。処遇改善加算には、介護職の給料アップという効果が期待されています。
参考:介護職員の処遇改善:TOP・制度概要
さらに、2016年には、介護福祉士の上位資格である「認定介護福祉士」が誕生しました。介護職になり、国家資格の「介護福祉士」を取得した後も、キャリアアップを目指せるでしょう。
参考:認定介護福祉士認証・認定機構|認定介護福祉士について
介護職は、資格を取得したり実践経験を積んだりすることで、介護リーダー(介護主任)や事業所の管理者等の役職者を目指せるようです。現場の介護職から施設長や事業所の管理者になることも不可能ではないでしょう。
ここまでの話をふまえると、「介護職は、大変な仕事ではあるが、社会に必要な介護の専門職である。今後も需要が見込めることから長期的なキャリアを築きやすい仕事。」といえるのではないでしょうか。
介護職は大変だがやりがいのある仕事
取材の最後に、インタビューアーが桜田さんに現在の心境を伺いました。桜田さんの返答は以下のように答えてくれました。
「介護職は大変ですが、やりがいのある仕事です。現場で働いていると、利用者や家族から『ありがとう』『助かった』とお礼の言葉を直接言ってもらえます。そんな仕事なかなかありません。」
「認知症の方の対応や安楽な身体介助のやり方など、上手にできないことはたくさんあります。ですが、職場には頼りになる先輩や話の合う同僚がいるので、時々助けを借りながら焦らずに上達していけます。資格を取得して経験を積み、自分が後輩や現場を引っぱっていく存在になりたいですね。」
介護の経験はないけれど、介護職に興味のある方に何かメッセージはありますか?とインタビューアーが質問すると、以下のように答えてくれました。
「介護未経験の私でも、介護職に転職して介護現場で現在も働いています。介護職に興味がある方は、未経験を理由に介護職になることを諦めてほしくないです。自分がやりたいかどうかにフォーカスして後悔のない決断をしてほしいです。」
まとめ
今回の前編後編記事では、未経験から介護職へ転職した桜田さんの体験談を基に、介護職の魅力とやりがい、介護職の難しさや注意点、そして介護職の将来性についてお伝えしてきました。
未経験から介護職になった桜田さんが「やりがいのある仕事」と感じたように、未経験の方でも、介護職に転職して“やりがい”を感じつつ働けるのです。
未経験者の応募を受け付けている介護施設や未経験者のサポートに力を入れている介護施設も存在します。未経験からでも、やりがいを感じながら長く働けるのが介護職です。
興味をもってくださった方は、ぜひこの機会に今どのような介護施設が募集しているのか、求人を通じてチェックしてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。


