「夜勤がつらくて辞めたい」そう話してくれた看護師5年目の荒木さん(仮名)。
鳴り止まないナースコール、緊急入院への対応、膨大な記録と書類作成…仮眠もろくに取れず、夜勤開始5分で「もう帰りたい」と後輩が嘆くほど、荒木さんの働く急性期病棟の夜勤は過酷です。
「続けるか辞めるか」悩んだ時期もあったそうですが、荒木さんは「経験を積みたい」と夜勤を続けています。
本記事では、荒木さんが直面した夜勤の過酷な現実と、夜勤がきついと感じても「辞めなかった理由」を深掘りします。
転職も考えた荒木さんの実体験をお話いただくので、夜勤がつらいと思っている方はぜひ最後までお読みください。
目次
仮眠も取れず17時間働き続ける現実
インタビュアー
本日は、荒木さんの夜勤でのエピソードをお話しくださるということで、どうぞよろしくお願いします。早速ですが、夜勤の現状をお話しいただけますか。
荒木さん
よろしくお願いします。私の部署は急性期病棟で、夜勤でも緊急入院は多く、入院患者の状態も変わりやすいのが特徴です。
患者のほとんどが高齢者で、認知症があったり、足腰が悪い患者も多くいます。
インタビュアー
忙しい病棟で勤めていらっしゃるんですね。
夜勤でも求められる緊急対応
荒木さん
そうですね。急変する患者もいます。他にもたとえば、急に腹痛がして救急車で運ばれた患者だったら、本来救急外来で対応するんですけど、状況に応じて病棟で対応することが割と多いように感じます。
まずどこから痛みが生じているのか一通り検査するための検査だし・検査迎え、患者家族からの問診、緊急で内視鏡検査を行なったり手術になったりする場合も珍しくありません。
言い出したらもっとありますが、高齢者でありがちなのは、大量の持参薬ですね。一つひとつ処方箋を確認して薬をセットするのですが、それには医師の指示が必要です。
夜勤だとなかなか医師の指示が入らなくて、「もうすぐ日勤」というタイミングで指示が入ることも。
また、日勤メンバーに薬の指示が入っていないのでと申し送ると「さっき入ってましたよ」と言われ、眠い目をこすりながら薬をセットすることもしばしば……。
いうまでもなく書類と記録もあります。
鳴り止まないナースコール対応
インタビュアー
夜勤だとスタッフ数が少ないから余計に時間がかかってしまいますね。
荒木さん
そうですね。日勤だったら、協力してさばくことが多いですが、夜勤だと他のスタッフは自分の受け持ち患者を抱えているので難しいですね。
インタビュアー
他にも夜勤の大変エピソードはありますか。
荒木さん
永遠と鳴り響くナースコールですかね。
転倒リスクがあり付き添いが必要にもかかわらず、「ナースコールを押してくれない」といった患者は一定数います。
患者が転倒し、怪我でもしたら大問題ですからね。大きな怪我がなくても少し膝がついた程度だとしてもインシデントレポートも書かなくてはいけませんし。
そのため、ナースコールを押してくれない患者には、クリップやセンサーマットを導入するしかなくて。
患者が寝ている時以外は、常にナースコールが響きます。
ナースコールが鳴るたびに”何かあったのでは”と、心が落ち着く暇もありません。
インタビュアー
ずっと耳にナースコールの音が……。それはきつくなりますよね。
荒木さん
先日一緒に夜勤をしていた後輩は、夜勤開始5分で「もう帰りたいです」と嘆いていたくらいです。
「夜勤がきつい」と思っても選択肢は続けるか辞めるかの2択
インタビュアー
体力的にも精神的にも負担の多い夜勤ですが、荒木さんは辞めようと思われましたか。
荒木さん
仮眠がろくに取れない夜勤の後は、次の日までご飯も食べずにほぼ寝るだけになってしまいます。変わり映えのない日々をこのままを続けて大丈夫か、と思うこともよくあります。
師長に相談するも「夜勤は減らせない」
荒木さん
実は、夜勤回数を減らしたり免除してもらえないかを師長に相談したことがあったんです。
結果、「夜勤は減らすのは難しい、他の人の夜勤を増やすことになる。」続けて「基本的に夜勤ができないなら外来や他部署への異動の可能性もある」とも言われました。
私の中では、続けるか辞めるか究極の2択でした。
急性期で経験を積みたい・・
インタビュアー
師長に相談しても、難しかったんですね。荒木さんは今も続けてらっしゃいますが、転職は考えましたか。
荒木さん
私の場合、まだ経験が浅いと感じていたため、クリニックや訪看への転職は考えませんでした。できれば今の職場で経験を積みたいと思っていたため、このまま夜勤をやり続けるしか選択肢はありませんでした。
別件で看護部長と面接した時に、「あなたも一生夜勤やり続けるの?看護部長になれば夜勤なんてやらなくていいのよ」と”キャリアアップをしなさい”と言われたのが今でも頭に残っています。
高給与の看護師求人をチェックし続ける日々
インタビュアー
看護部長にならない限り、「夜勤は絶対」なんて、酷ですよね。
荒木さん
今の職場で続ける選択をしたものの、スマホをひらけば求人情報を見ています。
というのも、先輩を見ると50代になっても60代になっても夜勤を続けているんですよ。
それに看護部長の言葉もありましたけど、師長なんて休日出勤は当たり前、当直明けは13時頃まで働いているのが当たり前です。
私はここまで自分を犠牲にしたくないです。
インタビュアー
ワークライフバランスも保つのも難しいですね。では荒木さんも将来転職を見据えているのですか。
荒木さん
あと数年は頑張るつもりですが、転職は前向きに考えています。
最近の求人だと、新しくできた訪看が高給与で看護師を募集していることが多いのでチェックは欠かせません。
体の負担が少なく、高い給与がもらえたら嬉しいと思います。
看護師が夜勤ストレスから解放されるために「今」検討すべきこと
荒木さんの実体験から、夜勤がつらいと感じながらも「経験を積みたい」「給与を維持したい」といった理由で、辞めずに働き続けている看護師の現状がわかりました。
大切なのは、「自分にとって何が最も大切か」を明確にすること。
体力的な限界、将来のキャリア、ワークライフバランス…すべての要望を今の職場で叶えるのが難しいのであれば、「続ける」「減らす」「辞める」の3つの選択肢を客観的に検討する時期かもしれません。
| 選択肢 | メリット | デメリット・注意点 | 将来性 |
|---|---|---|---|
| 夜勤を続ける | 収入が安定し、急性期などで経験を積める。 | 体力的・精神的限界がくるリスク。家族との時間が持てない。 | 専門性を極められるが、長期的な継続は困難な可能性も。 |
| 夜勤を減らす・免除 (部署異動含む) | 体力的な余裕が生まれる。 | 収入が減る。周囲の夜勤負担増で人間関係に影響が出る可能性。 | 部署によってはキャリアの幅が広がる。 |
| 夜勤のない職場へ転職 | ワークライフバランスが改善。心身の負担が軽減。 | 収入が下がる可能性がある(訪問看護など高給与の例外あり)。新たな人間関係の構築が必要。 | 訪問看護やクリニックなどで、専門性とは異なる経験値を積める。 |
荒木さんが新しい訪問看護の求人をチェックし続けているように、夜勤のない働き方でも高給与の求人は増えています。
自分らしく働くにはどのような働き方がよいのか、自分にとって何を大切にしたいかを見つめ直し、心と体の健康を守りながら働きやすい職場で素敵な看護を続けてください。
