これってパワハラなのかな?と思い悩んで、毎日の通勤が辛くなってはいませんか?
今回は、新人薬剤師として入職した職場で、パワハラを受けた経験のある薬剤師に取材しました。実体験から分かった、パワハラを受けた場合の対処法や、パワハラ上司に出会わないようにするためのポイントについて、ご紹介していきます。
今、パワハラに悩んでいる方、これってもしかしたらパワハラなのかな?と上司の態度に疑問を感じている方の参考となれば幸いです。
目次
新卒で入職した病院でパワハラ上司に遭遇
鈴木さん(仮名)は、新卒で入職した職場で、パワハラの被害に遭ってしまったそうです。入職後、上司がパワハラ体質であると気づくまでのお話について、語っていただきました。
入職後に判明した驚くべき実態
就職試験を受ける前に、職場見学がありました。正直、態度が気になる職員がいることには気づいていたんです。しかし、薬剤部長が尊敬できる人柄であると感じ、この方のもとで研鑽を積みたいと思い、入職を決めました。
インタビュアー
入職後の印象はどうだったのでしょうか?
鈴木さん
入職してすぐに、先輩から驚くべき話を聞きました。なんと、毎年新卒採用者がいたはずなのに、離職者が多いことが分かったんです。そのため、当時1番近い上司の経験年数が、5年以上離れているという状態でした。
さらには、見学時にいらっしゃった薬剤部長は退職されていました。新しい薬剤部長が、態度が気になる職員だったんです。ちなみに、この方が後にパワハラ体質であることが発覚します。
このとき初めて「何か辞めたくなる原因がある職場なのかもしれない」そんな予感を感じました。
誰にも余裕がない状況
インタビュアー
働かれていた、職場環境はどうでしたか?
鈴木さん
日常業務は、1年目であることを考慮しても激務だったと思います。調剤や病棟業務の他にも、薬局内の仕事が山積みで、終電で帰ることも珍しくありませんでした。
ミスをすると、先輩薬剤師が指導してくださいますが、どこか「見せしめ」のような雰囲気が漂っていることがストレスでした。
自分が指導されることもそうなのですが、だんだん他の誰かが指導されている場面を見ているのが辛く感じるようになっていたと思います。
パワハラ上司の実態が徐々に明らかに
インタビュアー
職場環境も、健全であるとは言えなかったようですね。
それから、どんなことがあってパワハラだと感じるようになったのでしょうか?
鈴木さん
先程もお伝えしたように、毎日とても忙しい職場でした。私のような新人だけでなく、先輩方もきっと、ストレスを多く感じていたと思います。
そんな中、他の薬剤師がミスをしたとき、パワハラ上司が大声で説教するという場面が増えてきたんです。
おそらく、入職したばかりの頃は、大声で怒鳴ることを意識的に抑えていたのではないでしょうか。初めてその光景を見たときは驚いたのですが、他の先輩方は「見慣れた光景」という感じで、やり過ごしていました。
薬剤部内の薬剤師だけでなく、訪問してくださる製薬企業のMRになど、多職種の方にも気にいらないことがあると罵倒していることもありました。
さらには嫌なことがあったときは薬剤部内で「腹立つー!」などと、大声で叫んでいるときもありましたね。さすがに、大人が大勢の前で使う言葉じゃないと感じたので、その頃から人間的に尊敬できないなと感じるようになっていました。
インタビュアー
パワハラ上司の方は、薬剤部内の全員に対して、そのような態度だったのでしょうか?
鈴木さん
どうやら違うようでした。人によって、怒りに達するハードルの高さに差があるイメージです。上司の中で、お気に入りとそうでない人の区別があったようです。
私はというと、残念ながら「お気に入りではない」部類だったようです。気に入られてないなという自覚はあったのですが、人間的に尊敬できずにいたので、あえて自分から近づきにいこうともしませんでした。
そんな私の態度も、もしかしたら余計に気に食わなかったのかもしれませんね。
やがて、精神的な辛さを感じるように
インタビュアー
「お気に入りではない」という自覚を持ちながら、お仕事を続けることは、とてもストレスを感じそうですね。その後はどんな経過だったのでしょうか?
鈴木さん
たとえば「お気に入り」の同期と私が2人で作業を行ったとします。そうすると、同期のことは褒めるのに、私に対してはスルーということが何度かありました。
扉をノックして入室する際には「ノックの音がうるさい!」とられたこともありましたね。
私が何をしても気に入らないという上司の態度に、徐々に疲弊するようになっていきました。
何をしても評価されない、認めてもらえない。「ミスをしたらみんなの前で怒られる」そんな恐怖感から、パワハラ上司と一緒に調剤をするときは、緊張から冷や汗をかいたり、手が震えるようになっているのに気づきました。
インタビュアー
とても辛い日々でしたね。
パワハラだと感じたとき、どう動いた?
鈴木さんが「これは一般的な指導ではない」と感じてから、どんな行動をされたのかについてお伺いしました。
鈴木さんの行動は、大きく3つに分けられるようです。
信頼できる上司に相談
鈴木さん
まずは、現状や体調について同じ薬剤部の、信頼できる上司に相談しました。
「上司に相談する=ある程度部内に話が広まる」ことを覚悟してのことなので、信頼できる方と2人きりで話ができるように時間を取ってもらいました。
薬剤部内に、自分のことを理解してくれる人がいるだけで、かなりの安心感につながりましたね。
離職する方法を模索
鈴木さん
ストレスによって心身ともに疲弊しているのは明らかだったので、この職場から離れる方法を模索しました。
病院薬剤師という仕事はやめたくなかったため、全く別の病院に転職するか、グループ内の病院に異動するかの選択肢は2つでした。そこでまず、転職エージェントに登録し、働きながら転職活動を始めたんです。
しかし、すぐには働きたいと思える病院に出会えないのが現状でした。
同時平行で、グループ病院への異動はできないかと上司に相談したんです。
グループ内異動であれば、システムや採用薬が似ていることから、経験値が浅い自分でも転職のハードルが下がると思い、グループ内異動に決めました。
2年目の4月から新天地へ
インタビュアー
異動は薬剤師2年目の4月だそうですね。
鈴木さん
調剤規則や採用薬など、グループ病院といえど、全く同じではありません。もちろん最初は苦労しました。
新天地にも厳しい先輩はもちろんいましたが、パワハラ上司のように理由が分からない理不尽なものではありませんでした。
厳しくても、指導してもらえることにありがたみを感じられるものでした。
慣れてくると、時には笑顔で仕事ができている自分に気づき、職場を変えて良かったと心から思えましたね。
前の職場では、雑務ほど若手薬剤師に回ってくることが多く、それも疲弊する原因だったと思います。
新しい職場では、仕事内容の優劣はつけず、薬剤部の仕事としてベテラン薬剤師も率先して行ってくださる環境が、とてもありがたかったです。
委員会活動など、薬剤部を代表して参加する会議にも、若手ながら参加させていただきました。
他部署の方々と、院内の決まりを決めていく仕事は、責任感を感じるものの、とてもやりがいのある仕事でした。
パワハラを経験したからこそできるアドバイスとは?
鈴木さんは、パワハラを受けて行動した結果、自分に合った職場と出会えたようです。
実際にパワハラを経験されたからこそ分かる、鈴木さんからのアドバイスをご紹介します。
パワハラ上司を見分けるポイント
入ってからでは逃げられないので、違和感を感じた職場には入職しないのがポイントかと思います。
たとえば、職場見学の際に
- 挨拶をしても目を合わさない
- 詳しい仕事内容を教えてくれない
そんな薬剤師がいたら、要注意だと思います。
違和感を感じたら要注意!居心地の悪い職場の特徴
インタビュアー
2つの職場を経験されて、気づいた点はありましたか?
鈴木さん
職場に、冷たく張りつめている雰囲気があるときは、その雰囲気をもたらす原因があるのではないでしょうか。
動いているのは若手だけ、ベテランだけが楽しそうな雰囲気がある。
さらには、調剤ミスや仕事のミスを罰のように取り扱う習慣がある場所も、私には合っていませんでした。
薬剤師の仕事にコミュニケーションは必須です。
コミュニケーションが取りづらくては、ヒューマンエラーによる、調剤過誤にもつながりやすくなってしまいます。
経験年数関係なく、ちょっとしたことでも相談しやすい職場の方が、仕事がしやすいと感じました。
パワハラ上司との付き合い方
インタビュアー
パワハラ上司とはどう付き合うのが良さそうでしょうか?
鈴木さん
パワハラ上司との付き合い方に有効だと感じた方法は、正直特にありません。
自分からご機嫌を取りに近づき、逆効果で場の空気を悪くしてしまったことがありました。
理解し合えない人とは、距離を開けて接するのが1番だと思います。
仕事と真摯に向き合ってさえいれば、医師をはじめとした病棟スタッフや、先輩薬剤師など、私を評価してくださる方にも出会えました。辛い時間で得られた大切な経験ですね。
まとめ
今回は新卒で入職した職場で、パワハラ上司に遭遇してしまった鈴木さんに取材しました。
鈴木への取材で分かった、パワハラを受けた場合の対処法は以下の通りです。
- パワハラされる理由に、正当なものはありません。自分を責めないようにしましょう。
- 自分に合う職場は、きっと他にもあります。一緒に働けて良かったと感じる上司には必ず出会えると信じ、行動しましょう。
- 薬剤師は長期にわたる研鑽が求められる職業です。仕事を続けるには、健康が第一。今いる職場が毎日楽しく、健康に仕事を続けられる職場かどうか、もう一度ご自分と相談してみてください。



