今回は28歳、救急病棟(HCU)で看護師として勤務する小柳さん(仮名)に取材させていただき、「看護師は働く場所でできる看護が異なること。自分のしたい看護と、今経験しておきたい看護が違う時、どう選択したらいいのか?」を取材させていただきました。
小柳さん
この救急病棟では私がやりたい看護ができない…
インタビュアー
やりたい看護?小柳さんの「やりたい看護」とは何ですか?
小柳さん
私は、患者さんともっとゆっくりお話したり、退院まで関わったりしたい。でも、救急病棟は、やっぱり経験的に他の部署では経験できないようなことをたくさん経験できるから、今のうちに経験を積んでおきたいという気持ちもあって、悩んでいるんです。
総合病院は部署により経験できること、経験できる看護が異なります。
「今いる部署の経験したい看護」か
「経験してみたい看護」か
どちらを優先した方がいいか?
気持ちが分かる!と思った方も少なくないと思います。
あなたならどう考えてどんな選択しますか?
目次
看護師の小柳さん(仮名)についての紹介
インタビュアー
本日はお時間をいただきありがとうございます。簡単に小柳さんの自己紹介をしていただいてもよろしいでしょうか?
小柳さん
はい、わかりました。
私は看護師になった後、5年間、救急病棟で働いていました。
看護師を目指したきっかけはドラマの影響が大きかったです。「私もドクターヘリに乗ってみたい!」そう思い、専門学校で勉強し、無事に国家試験に合格しました。
就職をする病院にはドクターヘリはなかったが、救急病棟で働きたい!と思い、部署の第1希望に配属されることになりました。
とてもワクワクして働き出したことを今でもよく覚えています。
あの日から5年。他の病棟では経験できないこともたくさん経験することができ、救急病棟に配属されてよかったと思います。
そんな中、
「いつもバタバタしてて、患者さん話せない人多いし、よくなってきてもすぐに一般病棟に移動しちゃうから、その後の患者さんのこと知らないし…。」
「病状が落ちついてきたってことだからいいことなんだけど、最後までその患者さん見てみたかったな」
そう思う日が増えてきました。
「でも、救急のこととか、ここでしか経験できない。今のうちに経験しておかないと勿体無い」
とも思い、心の中で、葛藤しはじめました。
インタビュアー
そもそも、救急病棟と一般病棟だとそんなに看護が変わってくるのですか?
小柳さん
病棟の部署により、できる看護は異なります。病棟ごとにそれぞれのメリットや得られることはあると思っています。
①救急病棟のメリット
- 心肺蘇生などの緊急度の高い疾患の対応を行い、判断力が上がる
- 救急に関する高度な看護技術のスキルが上昇する
- 医師や放射線技師などの多職種との連携が取れるようになる
他には、
- 緊急を要する処置が多いため、感情的な負担が少ない
と言われる方もいるかもしれません。
看護師としてスキルアップすることを考えると、この部署はとても適しているのではないかと思います。
②一般病棟の特徴とメリット
- 患者との信頼関係、個別性を考えた看護の提供ができる
- 慢性疾患や、術後の患者が多く、退院後の患者の生活状況まで全体を通しての関わりができる
- 患者だけではなく、その家族との関わりも増える
基礎的な看護スキルを身につけたい方、患者に寄り添った看護をしたい方には合っていると思います。
こう並べてみると違いは一目瞭然だと思います。
他にも外科病棟や小児科など、部署によって異なることもありますが、今回は、まとめて一般病棟とさせていただきます。
インタビュアー
こんなに違うんですね。
小柳さん
そうなんです。
私はどちらかを自分で経験していないと、理解するまでに時間がかかるかもれませんが、
救急病棟は、救急を要する処置に対して、知識、スキルが向上する
一般病棟は、患者家族と退院までの継続した看護の経験が積める
だと思っています。
自分にとって「どの看護」が一番大切か
インタビュアー
救急病棟か一般病棟かどうするか、悩んだきっかけがあったのですか?
小柳さん
ありました。
救急病棟では、病態が落ちついた頃、一般病棟に患者さんは移動します。移動しないと、次に急性期の患者さんが入る病室がないので、毎日患者さんが変わってくるというバタバタしている病棟なのです。
私が、救急病棟か一般病棟のどっちで看護をしたいか葛藤したきっかけは
患者さんが一般病棟に移動した時に
『これから良くなっていく患者さんを見てみたい』
『もっとお話してみたい』
と思ったからです。
救急病棟でもお話ができる患者さんはいます。
でもゆっくりお話する時間なんてありません。
自分にとっての「看護」とは
インタビュアー
小柳さんはどんな看護がしたかったのですか?
小柳さん
私は何の看護がしたいんだろう…
私は、もし自分が何の看護がしたいのか悩んだ時
向き合いたいのが、
自分の心
自分にとって、看護とは何か?
何の看護をすることに自分の心がワクワクするのか?
やりたい看護があることは看護師にとって、とても素敵なことだと思います。
救急の対応がしたい!
患者さんとゆっくり寄り添いながら看護がしたい!
バタバタせずにお話をしたい!
病状がよくなった患者さんと話したい!
などなど…
私もやりたい看護を聞かれたらたくさん出てきます!
たくさん出るということは、これから自分がどうしていきたいか、看護師としてどう過ごしていきたいか考えていることの現れだと思います。
私の中の看護とは
『患者さんと笑顔で関わること』です。
①患者さんと笑顔で過ごしたい
②患者さんが笑顔になる関わりがしたい
③患者さんの笑顔を守りたい
これだけ書くと一般病棟だと全てできるんじゃない?と思うかもしれません。
私の中で①〜③を行うためには、急性期の病態を乗り越える必要があると思っています。
そのために必要なのが、
④急性期の患者さんの病態に寄り添う看護したい
①〜④全てを同時に行うことは難しいことは分かります。
なので、私は救急病棟でこのまま働いていていのか、を考えるようになったのだと思います。
看護師としての喜びは何か
インタビュアー
看護師として看護をすると言っても、様々な思いがあるのですね。
小柳さん
そうですね。看護師も人なので、たとえ同じ境遇でも、それぞれの考え方があるので、その人それぞれの『看護』があると思います。
どの仕事でもそうだと思いますが、その仕事をすることの『喜び』は何か?
私の、看護師としての『喜び』は何か を考えると、患者さんが笑顔になることですね。
患者さんが笑顔になることで、私も笑顔になり、看護師としてのやりがいに繋がってますね。
私は
患者さんと笑顔で接すること
患者さんが笑顔で退院してくれること
患者さんに「ありがとう」と言われること
それが、看護師としても喜びになっていました。
患者さんに「ありがとう」と言われる度に
看護師をしていてよかったなって心から思います。
看護師としての成長に必要なことは
インタビュアー
大変な経験も、喜ばしい経験も、たくさんされてきていますが、小柳さんが思う看護師として成長していくのに必要な事とはなんでしょうか?
小柳さん
私は 看護師として成長していくためには、「自分を理解」することが大切だと思います。
経験年数が増えた
出来る看護が増えた
気持ちの変化が現れた、
やりたい看護が複数が現れた、
結婚や子供が産まれ、ライフスタイルが変わった時
など、その時々で自分が大切にするべきこと、ものは変化していきます。
その中で、自分が自分を理解した上で仕事を続けるためには、自分の価値観を大切にする必要があると思います。
自分の価値観(自分が大事にしているモノの考え方)とは
インタビュアー
看護師さんって、どんな価値観を持っているんですか?
小柳さん
そうですね。私の価値観は、看護師として患者さんの笑顔をすることだと思ってます。患者さんがどうしたら笑顔になるかを考えてる時が一番看護師として看護していると思いますね。
慌ただしい業務をしていると、何を大切にしたいのか、何の看護をしたいのか考えている余裕すらなく、日々目の前にある患者さんに看護を行っていくことしか出来ない日々もありました。
でも、その中でも、自分の中で大切にしたい価値観の根本は、「患者の笑顔」でした。
患者さんが笑顔になるためには?
患者さんと笑顔で話せるためには?
患者さんはどうしたら笑顔になる?
患者さんとどう関わりたいのか、患者さんにどうなってほしいのか、考えた時に
「患者さんに元気になってほしい」
でした。
患者さんと笑顔になるためには病気が改善に向かわないといけない(状況にもよります)
患者さんの体調が悪いと笑顔になれないことが多い
私の中で、急性期の患者さんが良くなること。それが一番患者さんの笑顔につながるのではないか。
そう思いました。
そのためには
急性期の病棟での経験を増やすことが患者さんの笑顔を守ることにつながる
「救急病棟での経験をもっと増やそう」
そう決意することができました。
自分は何が今一番したいのか
インタビュアー
患者さんの笑顔を一番に考えたら、救急病棟に残る決断をすることになったんですね
小柳さん
はい。患者さんにどうなってほしいのかを考えると簡単に答えは出てきたんですよね。
患者さんの笑顔を守るためにできること。
そのために自分は今何が一番したいのか、
どんな看護が好きで
どんな時にやりがいを感じて
どんな時に自自身も笑顔になれるのか
自分のことを自分が理解することが必要だとすごく感じました。
自分を理解するってすごく難しいですよね。
私も自分のことなのに、自分がよく分からなかったです。
でも、自分の気持ちと正直に向き合うことで
「救急病棟に残りたい」という思いになりました。
もし悩んだ時は、
自分が普段どういう時に喜びや悲しみなどを感じるか
自分自身と向き合う時間も大切にしたいと思います。
まとめ
小柳さんのお話を伺い、看護師をしていると「病棟を変わりたい」
そう思う時があるかもしれません。
そんな時は
自分の気持ちに正直に
自分のやりたいことに正直に
その気持ちを上司に伝えてから、病棟を実際に移動できるかどうかは分からないですが、自分の気持ちに正直になることはとても大切なことです。
いつでも自分の気持ちを大切にして、自分で選択することで前に進んでいきたいです。



