【体験談】新人介護職員が高齢利用者とのコミュニケーション力をアップするために実践した11つの方法とは

介護現場で高齢者とのコミュニケーションの取り方について悩んだことはありませんか?

言葉がうまく伝わらず相手を怒らせてしまったり、沈黙になったり。

認知症や脳梗塞の後遺症で話すことが難しい方、難聴の方など、その方に合った対応が必要です。相手に寄り添うことで信頼関係が生まれ、介護の質も高まることでしょう。

この記事では、高齢者に寄り添ったコミュニケーションを取るための具体的な方法やコツを、実際に介護士への取材を基に体験談も踏まえてご紹介します。

高齢者とのコミュニケーション力アップのためのポイントは?

 ここでは、高齢者とのコミュニケーション力アップのためのポイントや、相手に寄り添うために大切なことについてご紹介します。

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なぜ高齢者とのコミュニケーションは必要なのか

コミュニケーションには、挨拶、声かけ、ジェスチャーなど、さまざまな種類があります。

例えば、「おはようございます」と声をかけた時の相手の反応はいかがでしょうか?笑顔で返事が返ってきたのか、逆に表情が暗く元気のない声だったのか。

いつもと違うご様子であれば、体調や精神面での観察を行い、スタッフ間で情報共有を行う必要があります。

介護現場で交わすコミュニケーションは、高齢者に安心して生活して頂くために身体的、精神的状態を確認する大切な時間です。

介護職から高齢者への温かな思いは必ず伝わり、相互の信頼関係を築く基本となるでしょう。

高齢者の特性を理解し、相手に合ったコミュニケーションを取ることが大切です。

高齢者とのコミュニケーションの難しさ

高齢者とコミュニケーションを取る際、どのような難しさがあるのでしょうか?
ここでは事例を基に解説します。

【事例  】高齢者(山田様)と新人介護職(木下さん)とのコミュニケーション

介護付き有料老人ホームで生活されている山田様は、最近認知症の症状がみられるようになりました。
クローゼット内の衣類を全て出してしまい、居室内は常に乱雑になっています。
また、鞄にコップやオムツを入れて「家に帰ります」と玄関へ歩いてしまい落ち着かないご様子。

介護職の木下さんは居室へ戻るようお声かけしますが、帰宅願望は強くなるばかりで対応に困っています。

入居者:山田様の心境
認知症に伴う症状により生活に変化が現れています。
御自身の思いを伝えること、介護職からの言葉を理解することが難しい時があります。

介護士:木下さんの心境
「声かけしても伝わらない。どう対応したらいいのだろう?」
「今日も帰宅願望が強くなったらどうしよう」と不安と焦る気持ちでいっぱい。

このような様子は、実際の介護現場でよく見かける場面です。

なぜ木下さんはコミュニケーションの難しさを感じたのでしょうか?

次の項目では、難しさの原因と介護職としての対応方法を解説します。

高齢者とのコミュニケーションの難しさを解決するために実践したこと

高齢者とコミュニケーションを取る際に、難しさを感じる要因は、以下の2つが挙げられます。

  • 高齢者の特性(身体的特性・精神的特性)への理解不足
  • 介護職の関わり方
    それぞれについて解説します。

高齢者の身体的特性

人間は加齢により、身体的機能低下が起こります。老年症候群といった、筋力や呼吸機能、消化機能、嚥下機能、認知機能などが低下します。

症状が進行するに従い、介護や医療が必要になる場合がありますが、進行のスピードは人それぞれです。慢性疾患や急性疾患へとつながる可能性もあるため、早めの機能低下予防に努めることが大切です。

高齢者の精神的特性

加齢により精神面にも変化が起こります。悲観的になったり、意欲が低下して新しいことに取り組むことに消極的になっていく傾向があります。

人と関わる機会が減り会話が少なくなることにより、社会との接点が薄く自分だけの生活にこもりがちになってしまいます。不安や喪失感を持つ傾向にあることも特性の一つでしょう。

介護職の関わり方<寄り添う>姿勢

介護職として高齢者に関わる際に「安心安全に生活して頂く」ということは、いつも心掛けているでしょう。高齢者は身体的機能低下により、転倒による骨折や誤嚥など、重大事故へつながる可能性があるため、介護職は常に緊張した精神状態で職務にあたっています。

また、限られた人数で多くの業務を行うため、時間に追われていることもあるかもしれません。

無意識に介護する側の視点だけで高齢者に関わってしまい「高齢者自身の気持ち」を見失いがちです。

つい高齢者を否定する言葉を使ってしまったり、行動を制限したりすることはないでしょうか?

高齢者と介護職との「心のずれ」がコミュニケーションの難しさの要因の一つとなっているのかもしれません。

【事例  】高齢者(山田様)と新人介護職(木下さん)とのコミュニケーションのふりかえり 

ここでは前述の【事例】でご紹介した内容をふりかえってみましょう。

木下さんは、山田様の対応方法について先輩に相談してみました。

すると先輩から「山田様の行動の理由を考えてみましょう」というアドバイスがあり、これまで山田様と関わった際の「自分の心境」をふりかえりました。そして次のことを実践してみました。

①山田様の認知機能低下について経過を再確認し、「認知症の症状」についてのテキストを改めて読み直した

②山田様と一緒に、クローゼットの棚に衣類別のラベルを貼り整理をした

③帰宅願望が強い時は無理な声かけはせず、山田様のペースに合わせて一緒にフロア内を歩き過ごすことにした

その後、山田様は木下さんと一緒に衣類を整理したり、フロアでゆっくり過ごされる時間が増え、落ち着きつつあるようです。

介護職は一人で悩まず周りの人に相談したり、症状について再確認し対応方法を変えることも大切です。
コミュニケーションを取る際は、言葉のやりとりだけでなく関わり方を変えることも実践してみてはいかがでしょうか。

「寄り添う」とは、物理的に傍らに添うということではなく、相手を総合的に理解し献身的に支えるという深い意味として捉えます。

高齢者の心を思い「寄り添う」姿勢を大切にしましょう。

高齢者とのコミュニケーション力アップのために実践したこと

〜体験談を紹介してくれた介護士さん〜
介護士歴1年目 26歳 女性 大山さん(仮名)
保有資格:介護職員初任者研修取得、勤務先:介護付き有料老人ホーム

大山さんは介護職員初任者研修取得後1年目。

現在、介護付き有料老人ホームに勤務しており、他施設での実務経験はありません。
高齢者とのコミュニケーションがうまく取れず、沈黙になったり相手を怒らせてしまうことが多く、毎日が緊張の連続。
インシデントにつながったこともあり、仕事に対する自信が持てずにいます。

自分が介護の仕事に向いているのか、このまま介護の仕事を続けていけるのだろうかと悩み、最近は出勤することが辛くなっているそうです。

入居者吉田様と大山さんとのコミュニケーション

大山さんが担当する介護付き有料老人ホームのAフロアは、30名の入居者様に対し日中は介護職員5名、夜間は介護職員2名がケアにあたります。

看護師も常駐していますが、常に忙しそうで声をかけづらい雰囲気だそうです。

Aフロアでは認知症、難聴、脳梗塞の後遺症である失語症でコミュニケーションが難しい方が多く生活されています。その一人吉田様(85歳  男性)は、脳梗塞で右上下肢麻痺と失語症の後遺症があります。

ある日、共用リビングで過ごされていた吉田様が急に廊下の方へ車椅子を自走し始めました。その様子に気づいた大山さんは、急いで吉田様を追いかけます。

吉田様は失語症のため「あの・・・あの・・・。」と言われるだけで、大山さんは行動の理由がすぐに分からずリビングへ戻るよう何度もお声かけします。しかし、吉田様は戻ろうとされず、表情は次第に険しくなっていきました。

居室へ行かれた吉田様は自力でベッドへ移ろうとされますが、ふらつきが大きく危うく転倒しそうになりました。がっしりとした体格のため、大山さんは吉田様の身体を支えることで精一杯だったそうです。

その後、吉田様は腰を撫でながら険しい表情でベッドで過ごされていたとのことでした。

大山さんが高齢者とのコミュニケーション力アップのために実践したこと

今回のことで、大山さんは吉田様への対応に強い不安を感じ先輩に相談しました。

先輩からは、吉田様は最近腰痛がひどくなっていたこと、常に介護職側から体調を気づかう必要があること、発語は難しいが介護者からの言葉の理解は十分可能な方だというアドバイスを受けたそうです。

大山さんは次の6つを実践してみました。

  • 山田様に関する情報収集(体調変化や内服内容)にもっと時間をかけた 
  • 失語症についてテキストや研修で再度学び直した
  • 体調を気づかうお声かけを早めに行うようにした
    例)「腰の痛みはいかがですか?」
    「痛むようでしたら、少し横になられますか?」
  • 今まで以上に山田様に対して、会話やお声かけをする時間を増やした
  • 笑顔で関わるよう心掛けた
  • 不安なときは、先輩や他の介護職へ相談するようにした

大山さんは、以上のことを意識して実践することで、自分は常に不安げな表情だったこと、情報収集の内容が不十分だったこと、これまでいかに自分が介護職側だけの視点でご利用者様に関わっていたかと実感されたそうです。

最近は他のご利用者様から「大山さん、お願いしていい?」と言われることも増えてきました。介護技術的にもまだまだ不安な面はたくさんありますが、大山さんは少しずつやりがいを感じ始めているとのことでした。

大山さんが考える高齢者とのコミュニケーション力アップのための 11 のポイント

ここでは、大山さんの実際の経験をもとに高齢者とのコミュニケーション力アップのためのポイントをご紹介します。

①聞き上手になる

私達は他者と会話する際、つい自分を主体に話してしまいがちです。自発的にコミュニケーションが難しい高齢者も多くおられますので、「話し上手」ではなく「聞き上手」を心掛けましょう。相手が話しやすいよう、言葉や質問の仕方に配慮することが大切です。

②否定しない

高齢者との会話では、事実と異なっていたり認知機能低下により話がかみ合わないことがあります。しかし、相手の自尊心や話す意欲を高めるためには、否定せず相手を尊重し共感することが大切です。
相手のペースに合わせ、やさしく笑顔で聞きましょう。

③傾聴する

高齢者は同じ話を何度も繰り返すことがあります。認知機能低下により、以前話したこと自体を忘れているのです。
高齢者の話を遮らず、否定せず傾聴しましょう。相手は「熱心に聞いてくれた」という安心感を抱き、信頼関係構築へつながります。

④目線を合わせる

高齢者とのコミュニケーションを取るときは、相手が車椅子に座っていたり、ベッドで横になっている場合があります。その際、立ったまま話しかけると相手の頭上からお声かけすることになり、高圧的な印象を与えてしまう可能性があります。
相手の目線に合わせて優しく話しましょう。

⑤ゆっくり、はっきり話す

高齢者の中には、難聴や理解に時間がかかる方がおられます。
聞き取りやすいように声のトーンを低くして、優しく大きな声で、ゆっくり、はっきりと話しましょう。目を見て、意識的に言葉を区切りながら話すと伝わりやすいです。

⑥沈黙も大切なコミュニケーションの一つ

高齢者との会話で話題が見つからず、沈黙になって困ったことはありませんか?
この場合、無理に話かける必要はありません。高齢者の中には会話が苦手な方もおられます。話さなくても一緒に散歩したり、横に座って景色を眺めることだけでも大切なコミュニケーションの時間です。リラックスして関わりましょう。

⑦言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーション

ここでは2つのコミュニケーション方法をご紹介します。

言語的コミュニケーション
実際に言葉を使ったコミュニケーションです。
相手の目線に立ち、明るく正しい言葉遣いと敬語を心掛けましょう。声のトーンや話すスピードにも気をつけることがポイントです。

非言語的コミュニケーション
表情、目線、姿勢、しぐさなど、言葉以外を使ったコミュニケーションです。
言語的コミュニケーションよりも感情が相手に伝わりやすいとされています。相手の心身の状態をきちんと把握した上で適切に使用することで、信頼関係構築につながります。

⑧笑顔も大切

明るく自然な笑顔は、相手に好印象と安心感を与えます。
笑顔でのコミュニケーションは、高齢者の話す意欲へとつながることでしょう。

⑨介護職・他職種間の密なコミュニケーション

高齢者の安心安全な生活を支えるためには、介護職や他職種との密なコミュニケーションが大切です。心身の変化や病状など職員間で情報共有した上で関わることで、高齢者は「守られている」という安心感を抱いて生活できます。
又、事故を防ぐための大切なプロセスでもあります。

⑩なぜ?行動の理由を考える

認知症や失語症の方などの行動は、介護職が直ぐに意思を把握できかねる場合もあります。なぜ、このような行動をしたのか?と「行動の理由」を常に介護職は考えることが大切です。日常生活の中で、高齢者がどのような問題を抱えて困っておられるのかを把握し支援する姿勢を持ちましょう。

⑪研修会で学ぶ(高齢者との適切なコミュニケーション方法)

高齢者とのコミュニケーションは、個別的でさまざまな方法があります。最近は体験型研修会やオンライン研修会も開催されていますので、積極的に学んでいきましょう。研修会での出席者同士のコミュニケーションも学びの一つです。

まとめ

介護職として多くの高齢者と関わる中で、コミュニケーションの取り方は重要な課題です。相手に合った方法を実践することでお互いの信頼関係を築き、高齢者の楽しく安心した生活を支えることができるよう、コミュニケーション力をアップすることが求められています。

実務経験の少ない介護士は不安やストレスを抱えやすい傾向にありますが、先輩や同僚へ相談したり、成功事例や失敗事例を知ることで解決のポイントを掴むことができることでしょう。
介護士は今後ますます必要とされ、大切でやりがいのある仕事です。
今回の記事が学びの一つとなって頂けると幸いです。

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