高齢者施設で働く介護職の方の中には、以下のような不安・悩みをお持ちの方もいます。
「いろいろな高齢者施設で働いてきたが、どこもうまくいかない」
「高齢者介護でうまくいかないなら、介護職は向いていないのかな?」
介護職の将来が心配なときは、障害者福祉に目を向けてみてはいかがでしょうか?
森田さん(仮名)も、ご自身の将来性に不安を感じていた介護職の一人でした。
森田さんは、高齢者介護から障害者福祉(重度訪問介護・居宅介護)に転職し、これまでとは違うやりがいを見つけたと言います。
重度訪問介護と聞くと、
「もっと難しそう」
「重い障害の方のケアで大変そう」
そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし森田さんにとっては、重度訪問介護の現場が介護職を続けたいと思える場所だったと言います。
介護職が活躍できる現場は高齢者介護だけではありません。
自分に合った働き方を見つけたい方は、ぜひ続きをご覧ください。
インタビュー対象者
森田さん(仮名) 39歳
特別養護老人ホームやグループホームなどの高齢者施設で、10年以上介護職として従事
目次
「高齢者施設の介護職が向いていない」と感じた3つの理由
高齢者施設で働いてきた森田さんですが、「自分は高齢者施設の介護職が向いていない」と苦悩を抱えていたと言います。まずはその理由をみていきましょう。
頑張っても報われないと感じた高齢者介護
一生懸命利用者さんをケアしていても、今以上に元気になる方は稀です。ほとんどの利用者は、時間と共にADL・認知能力が衰えていってしまう…。 一度の入院や転倒などの事故をきっかけに、別人のようになってしまう方も少なくありません。そんなときは、介護職の頑張りが一瞬で0になってしまうと感じました。 同じことを繰り返すうちに、「自分が頑張る意味はなんなのだろうか」と虚しさを感じるようになりました。
介護施設は、私にとってモチベーションを保てない現場でした。
派閥やいじめ…介護施設の人間関係
同じ施設でいがみあう2つの派閥、ベテラン女性介護職による新人いじめや知りたくもなかった管理職と部下の不倫、そんな複雑な人間関係にも直面してきました。 私も、管理職から暴言や暴力を受けたことがあります。利用者さんと関係のない出来事に気を遣うのは、疲れてしまいますよ…。
介護施設の人間関係にも疲れ果てましたね…。
男性介護職の悩みや解決方法を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【体験談】男性介護職が女性の多い職場で働くときの悩みと解決のヒントを紹介
マルチタスクが続く介護施設の現場
たとえば、食事介助と見守りを同時並行で行う場面では、「飲み込みに問題がないか」「次に何を食べたいか」を考えて食事介助をしながら、別の利用者さんの「歩行に異常はないか」「足もとに障害物がないか」などの安全面に気を配っていました。 夜勤も大変でした…。定時の巡回、オムツ交換や体交。空いた時間は書類作成や清掃業務に消えていきます。2時間の休憩時間があたえられていましたが、休む暇なんてありません。休憩中にセンサーマットや利用者さんのコールが鳴り響き、そのたびに現場に駆け付けないといけませんから。 これは私1人の話ではありません。人手不足の現場はどこも同じような状況だと思います。
人手が足りない現場では、常にマルチタスクで心身ともに苦しかったです。
介護の仕事は高齢者施設だけじゃない!障害者福祉で見つけた新たなやりがい
森田さんは、「もう自分は介護職を続けられない…」「でもこの先どうしよう?」と悩んだと言います。そんなとき、 友人の紹介で障害者福祉(重度訪問介護・居宅介護)の訪問ヘルパーとして働くことになりました。
そこで、森田さんは「ここは働きやすい」「自分に合っていて、長く続けられそうだ」と感じ、介護職としての将来に希望を持てたと言います。
個性豊かな利用者と活動する楽しさ
たとえば、Aさん(40歳男性)とは、通常業務の合間にオセロや囲碁、将棋などをして一緒にしています。Aさんに知的障害はなく頭脳明晰な方なので、訪問中でも利用者さんと趣味を楽しむ時間があるんですよ。 もう1人のBさん(36歳男性、知的障害あり)とは、買い物や外出行事などに一緒に出かけています。Bさんができない部分を私が支援することは、Bさんの社会参加や地域交流のサポートにつながります。
個性豊かな利用者さんと一緒に活動することは、私にとって新鮮な喜びでした。
利用者さんの「社会参加に生きがいを感じている瞬間」「できなかったことができるようになり喜ぶ姿」。こうした成長する姿に森田さんは何度も感動し障害者福祉に新たなやりがいを見出したと言います。
1対1で向き合う重度訪問介護の仕事
森田さんが働く重度訪問介護・居宅介護の現場では、1人の介護職が利用者の自宅などを訪問して、身体介護や家事援助サービスなどを提供します。
ここに、森田さんは高齢者施設にはない“働きやすさ”を感じたそうです。
1対1で利用者さんと接するので、高齢者施設のようなマルチタスクはありません。 「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と頭が一杯にならずにすむので、とても働きやすいんです。業務中は目の前の利用者だけを考えています。 私は障害者福祉にうつったとき、「こんなにゆっくり考えていいのか、行動していいのか」と衝撃を受けたと同時に「高齢者施設よりもストレスを感じにくい」と感じました。
利用者の自宅を訪問してサービスを提供するというスタイルは、自分に合っていました。
森田さんは人間関係のつらさからも解放されたと言います。
でもスタッフ間の交流はちゃんとありますよ。訪問前の空き時間には、事務所で他の介護職と雑談したり利用者のことを相談し合ったりしています。 職場で自然体でいられるなんて、高齢者施設で働いていた頃は、想像もできませんでした。
利用者の訪問中は、誰かの目を気にしながら業務をこなす必要はありません。誰かの悪口が私の耳に入ることもありません。
まとめ|重度訪問介護で見つけた新しいやりがい
「高齢者施設でうまくいかないと感じている介護職の方に伝えたいことはありますか?」と質問すると、以下のように答えてくれました。
高齢者介護でうまくいかなくても、将来を悲観しないでほしいと思います。もしかしたら、障害者福祉ならいきいきと働けるかもしれません。今、つらい状況にいる人も、介護職を諦めないでほしいです。 私は今の職場で、若くて個性豊かな利用者の方々とじっくり関わる時間を持てること、一緒にアクティブに活動できることに、今までに感じなかったやりがいを感じています。
介護施設だけが介護職の職場じゃない。自分に合った職場が他にあるかもしれない。もしも他者を支援したいという気持ちがある人は、障害者福祉にも目を向けてほしいです。
最後に、令和5年の厚生労働省社会・援護局の資料を紹介します。同資料によると、国内の障害者の総数は約1,160万人。そのうち在宅で生活している方は約1,111万人にのぼります。
参考:厚生労働省|障害福祉行政の最近の動向(令和6年度報酬改定を中心に)
資料では、障害者総数は増加傾向にあると述べられていました。要するに、障害者の方が安心して暮らせる受け皿が今後も社会に欠かせないのです。
もしも今、高齢者施設で働くことに“迷い”を感じているのなら、重度訪問介護という働き方も選択肢の1つかもしれません。


