薬剤師の資格をこれから取得する人もすでに取得している人も、薬剤師としてどのようにキャリアアップしていくかを考えることが大切です。薬剤師が取得できる資格にはさまざまな種類があり、資格ごとに必要な条件が異なります。
なるべくスムーズに将来の夢を実現するためには、資格ごとの特徴を知ったうえでなるべく早めに計画を立てましょう。今回は、薬剤師が取得できる資格の中でも「腎臓病薬物療法認定薬剤師」に焦点を当てて、認定条件や仕事内容について解説していきます。
腎臓病薬物療法認定薬剤師とは
腎臓病薬物療法認定薬剤師とは、腎臓病を患った人々に対して、専門的な知識・技術をもって腎臓病薬物療法を提供できる薬剤師であると認められた薬剤師のことです。この資格は日本腎臓病薬物療法学会が認定する資格制度で、腎臓病を持つ患者さんに対して有効かつ安全な薬物療法を提供することで、国民の保健・医療・福祉に貢献していくことを目的としています。
腎臓病薬物療法認定薬剤師と似た資格に「腎臓病薬物療法専門薬剤師」「腎臓病薬物療法単位履修修了薬剤師」があります。腎臓病薬物療法専門薬剤師は、腎臓病薬物療法の実践に加えて、教育や研究といった分野にも貢献する薬剤師です。腎臓病薬物療法単位履修修了薬剤師は、腎臓病薬物療法に関する自己研鑚を積んだ薬剤師を指します。腎臓病薬物療法認定薬剤師と名称が似ているため、しっかりと区別をする必要があります。
今回は腎臓病薬物療法認定薬剤師に絞って解説します。
腎臓病薬物療法認定薬剤師になるにはどうすれば良い?

腎臓病薬物療法認定薬剤師になるには、日本腎臓病薬物療法学会の専門薬剤師認定審査に合格する必要があります。しかし、薬剤師であれば誰でも認定資格を得られるわけではないため注意が必要です。
以下では、腎臓病薬物療法認定薬剤師になるための条件や認定までの流れを説明します。
認定条件と認定までの流れ
腎臓病薬物療法認定薬剤師の認定条件は、「日本の薬剤師免許を持っており、薬剤師歴5年以上であること」「申請時において3年以上日本腎臓病薬物療法学会の会員であること」といった条件のほかに、「日本腎臓病薬物療法学会が示す単位基準が直近3年間で12単位以上あること」「学会発表が直近10年間で3回以上あること」といったさまざまな条件が定められています。
ほかにも、「申請時に直近5年間の30自験例を提出すること」といった条件を満たす必要があり、腎臓病薬物療法認定薬剤師になるには計画的に準備を進める必要があります。
認定条件を満たしたら、日本腎臓病薬物療法学会に資格認定を受ける旨を申請します。書類審査を通過したら認定試験に臨み、合格すると腎臓病薬物療法認定薬剤師の資格を取得できます。
以下が日本腎臓病薬物療法学会が定める認定資格です。
- 日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師としての優れた人格および識見を備えていること。
- 薬剤師歴5年以上、申請時において3年以上本学会会員であること。薬剤師歴は医療機関での 常勤並み勤務の通算とする。また、直近2年間は常勤並みの継続勤務を必要とする。
- 日本腎臓病薬物療法学会が示す単位基準の修得単位が、受験年の直近3年間で12単位以上ある こと。
- 日本腎臓病薬物療法学会(日本腎と薬剤研究会も含む)、日本腎臓学会、日本透析医学会、 日本医療薬学会、日本薬剤師会学術大会などの全国レベルの学会や関連する国際学会において、 腎臓病薬物療法に関する学会発表が、申請年の直近10年間で3回以上 (うち,少なくとも1回は筆頭発表者)あること。
- 申請時に、直近 5 年間の 15自験例を提出すること。なお、学術雑誌でacceptされた、 申請者を筆頭著者とする症例報告は、1報に限り自験例として扱うことができる。 日本腎臓病薬物療法学会誌またはRenal Replacement Therapy誌であれば症例報告1報と 自験例5例、それ以外の学術雑誌であれば症例報告1報と自験例10例を要件とする。 ただし、症例報告は認定期間中にacceptされたもので、それを証明する書類を提出すること。
- 認定試験(筆記試験)に合格した者
引用: 日本腎臓病薬物療法学会
更新手続きについて
腎臓病薬物療法認定薬剤師の資格は5年ごとの更新が必要です。資格を更新するためには、「認定薬剤師として腎臓病薬物療法に貢献した履歴を提出すること」「日本腎臓病薬物療法学会が示す研修で所定の単位を取得すること」といった条件を満たす必要があります。
ほかにも、新規認定時と同様に学会発表や自験例の提出も求められていることから、腎臓病薬物療法認定薬剤師として活動しながらも、更新手続きに必要な要件を満たせるよう計画的に準備を進めなければなりません。
更新資格は以下です。
- 日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師としての優れた人格および識見を備えていること。
- 継続的に本学会会員であること
- 認定薬剤師として腎臓病薬物療法に貢献した活動履歴を提出すること。
- 日本腎臓病薬物療法学会が示す単位基準の修得単位が、更新年の直近5年間で20単位以上ある こと。ただし、20単位のうち、本学会主催の学術集会への参加に係る単位の合計として6単位 以上必要であり、かつ毎年1単位以上履修すること。
- 本会が指定する指定講演を2回以上受講していること。
- 日本腎臓病薬物療法学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本医療薬学会、日本薬剤師会 学術大会などの全国レベルの学会や関連する国際学会において、腎臓病および透析患者の 薬物療法に関する学会発表が、更新年の直近5年間で1回以上(筆頭発表者)あること。
- 直近 5 年間の 15自験例を提出すること。なお、学術雑誌でacceptされた、申請者を 筆頭著者とする症例報告は、1報に限り自験例として扱うことができる。 日本腎臓病薬物療法学会誌またはRenal Replacement Therapy誌であれば症例報告1報と 自験例5例、それ以外の学術雑誌であれば症例報告1報と自験例10例を要件とする。 ただし、症例報告は認定期間中にacceptされたもので、それを証明する書類を提出すること。
引用: 日本腎臓病薬物療法学会
更新手続きに必要な条件を満たしたら、日本腎臓病薬物療法学会に更新申請をするとともに更新料(書類審査料)を振り込みます。審査に通過したら、腎臓病薬物療法認定薬剤師としての活動を継続できるようになります。
申請手数料と更新手数料
腎臓病薬物療法認定薬剤師の資格申請に必要な手数料は、書類審査料11,000円(税込)と認定試験受験料16,500円(税込)です。
また、更新手続きに必要な費用は、更新料(書類審査料)11,000円(税込)です。それぞれ振り込みができる期間が設けられているため、忘れずに振り込みましょう。
腎臓病薬物療法認定薬剤師の仕事内容は?
腎臓病薬物療法認定薬剤師の主な仕事内容は、患者さんの腎機能障害の程度に応じた薬物療法を提供することです。
腎臓疾患を持つ患者さんは、脳梗塞や心疾患といったさまざまな合併症を引き起こすリスクが高くなっています。そのため、患者さんの腎機能をより良く保つには、より専門的な知見をもって医薬品の用法・容量のバランスをとっていくことが大切です。
また、腎臓病薬物療法認定薬剤師は、腎臓の発達が未熟な新生児やさまざまな疾患を持つ高齢者など幅広い人々と関わる機会があります。透析や腎移植といった難しいケースにも的確に対処しなくてはならないことから、仕事内容は多岐にわたると言えるでしょう。
腎臓病薬物療法認定薬剤師が活きる仕事
上述したように、腎臓病薬物療法認定薬剤師は、腎疾患を患うさまざまな人々に対して薬剤師としての専門的な立場からアプローチする役割を持っています。こうした仕事は、特にチーム医療において大きな力を発揮すると期待されています。
たとえば、複雑な疾患を合併する患者さんや新生児や高齢者など、一般的な介入では治療が困難な事例について、腎臓病薬物療法認定薬剤師として医師や看護師とうまく連携をとって治療にあたれば、より質の高い医療を提供できるようになるでしょう。
薬剤師が取得できるその他の認定資格

ここでは、薬剤師が取得できる資格のひとつである「腎臓病薬物療法認定薬剤師」について、資格の概要や取得するための条件や流れ、主な仕事内容について説明しました。
薬剤師としてのキャリアアップ方法はさまざまですが、将来どのような分野で力を発揮したいかをイメージしておくと、おのずと取得すべき資格が見えてくるはずです。ほかにも薬剤師が取得できる認定資格はたくさんあるので、是非以下の記事も参考にしながら資格ごとの特徴を比較し、自分に合った認定資格を探してみてください。


