【SOAP方式の薬歴例】DO処方における薬歴記載のコツと具体例~患者との効果的なコミュニケーション術

薬剤師のリアル

薬歴を書くうえで、「薬が何も変わってないから、何を話したらいいのか…」と悩んだ経験は、どんな薬剤師でもあると思います。安定した慢性疾患の場合、服薬の継続はもちろん重要なのですが、「指導することがない」「渡すだけで終わってしまう」といった事態に陥りやすいです。
シリーズ3回目の本記事では、DO処方が続いているケースを想定し、面談や薬歴記載のコツをお伝えします。

「DO処方」における薬歴記載の悩み

安定した慢性疾患の場合、それほど頻繁に処方内容は変わりません。変わらないということは、治療が順調ということでもありますので、よいことではあるでしょう。
しかし、薬剤師としては「何を確認すべきなのか?」「何もできることはないのか?」と悩んでしまいます。

・「気になることはないですか?」と聞いても、漠然としすぎて会話が続かない
・何を話せばいいかわからない
・何を求められているかわからない
・会話がないので薬歴も書けない
 など
こういったお悩みを解消し、自信を持って薬剤師としての視点から関わりを持てるようになりましょう。

ケース1:デバイスの使い方は正しいか?-吸入薬使用患者の薬歴例

喘息の吸入薬やインスリンなど、デバイスの使い方は慣れと共に「これくらい、いいだろう」と手順を飛ばしてしまったり、いつの間にか自己流の使い方になっていたりするものです。

年に1回や2回など、時期を決めて確認してみるのはいかがでしょうか?例として、喘息で吸入薬を使っている患者のケースを考えてみます。吸入薬をお渡しするだけであれば、以下のような記載にしかなりません。

Before
# DO処方
S)
変わりない
O)
【処方内容】
レルベア200エリプタ 1日1回1吸入
AP)
吸入継続している。変更あれば指導
デバイスの使い方が自己流になっていないかチェックしましょう。
After
# ステロイド吸入後のうがい忘れ
S)
うがいはやめてました。何ともなかったから。
O)
【処方内容】
レルベア200エリプタ 1日1回1吸入
【確認・指導内容】
吸入回数:◯ 吸入忘れ:なし うがい:×
カンジダ予防のため、吸入後にうがいをするか、食事前に吸入することをすすめた
A)
自覚症状がなかったため、うがいをやめていた。必要性は理解された。
P)
次回以降でうがいの確認。

狙った薬効を得たり、副作用を予防したりするためには、デバイスを正しく使用することが大切です。患者が若く理解力のありそうな人だったとしても、定期的に確認してみてはいかがでしょうか?

ケース2:飲み忘れはどうか?-曜日指定の薬がある患者の薬歴例

いつも同じ薬を受け取っているからといって、自己調節したり、飲み忘れたりしていないということにはなりません。
調子によって調整してもよい下剤のような薬もあれば、症状コントロールのためにしっかり飲まなければならない薬もあります。理由を確認し、指導や残薬調整に繋げましょう。

たとえば、リウマチの治療で、メトトレキサートなど曜日指定の薬を服用している例を考えてみます。

Before
# DO処方
S)
変わりない。余っている薬はない。
OA)
【処方内容】
プレドニゾロン錠1mg 1日1回朝食後 1回3錠
アレンドロン酸35mg 土曜日 起床時
リウマトレックスCp2mg 1日2回朝夕食後 1回2錠 水曜日
フォリアミン5mg 1日1回朝食後 1回1錠 金曜日
デキサルチン口腔用軟膏 口内炎できた時に塗布
【確認】
残薬なし→飲み忘れないと判断
P)
変更あれば指導
生活を踏まえた面談をしてみましょう。

コンプライアンスの確認のため、「薬は余っていませんか?」という質問はよく使われます。そこから一歩進んで、「服薬で困っていることがないか」という視点で考えてください。たとえば、仕事をしているかどうかは、初回来局時の「質問票」に記載されていることが多い情報です。情報を活用し、面談に活かしてみましょう。

【面談例】

薬剤師:今日も前回と同じ薬です。お仕事をされていると伺っていますが、リウマトレックスやフォリアミンは平日に忘れずに飲めていますか?
患者:実はリウマトレックスは夕に4カプセル飲むこともあります。朝は子供のことでバタバタして忘れてしまうんですよね。フォリアミンも思い出した時に飲む感じで、日曜日になることもあります。骨の薬は忘れてないです。
薬剤師:朝は何かと忙しいから大変ですよね。フォリアミンはリウマトレックスの副作用予防のものなので、あまり間隔が空きすぎないほうがいいんです。
患者:えーそうなんだ。だから口内炎が多いのかも。曜日は自分の都合で変えてもいいですか?土日にしたいです。
薬剤師:先生に確認してみるので、お時間いただけますか?
After
# 曜日薬の飲み忘れ対策
S)
実はリウマトレックスは朝の飲み忘れで夕にまとめていることが多い。
フォリアミンも日曜日など気がついた時に服用している。
仕事をしているので、曜日薬は土日にまとめられたら助かる。
O)
【処方内容】
プレドニゾロン錠1mg 1日1回朝食後 1回3錠
アレンドロン酸35mg 土曜日 起床時
リウマトレックスCp2mg 1日2回朝夕食後 1回2錠 水曜日→土曜日へ変更
フォリアミン5mg 1日1回朝食後 1回1錠 金曜日→日曜日へ変更
デキサルチン口腔用軟膏 口内炎できた時に塗布
【説明】
・翌週分から曜日が変更になったこと。
・フォリアミンはMTXの副作用予防に翌日・または翌々日に服用が望ましい。
A)
フォリアミンはMTXの翌日でもよいため、BP含め土日にまとめることはできそう。
医師へ疑義照会→来週の服用分から変更するよう指示を受けた。
フォリアミンを正しく服用できれば、口内炎の頻度も減るかもしれない。
P)
飲み忘れや口内炎の状況確認。

「残薬がない=指示通り服用している」とは限りません。質問票の情報なども踏まえて、生活にマッチした無理のない服薬ができているかどうか確認してみてください。

ケース3:周りの情報から不安を感じていないか? -高血圧治療をしている患者の薬歴例

薬やサプリメントなどに関して、テレビや雑誌等で取り上げられ、不安に思って服薬をやめてしまう…という方は時々おられます。医師へ聞く前に、薬剤師に聞いてみようと考えて相談してくれるケースも多いです。
そういった時事的な問題にもアンテナを伸ばしておくと、面談のときによい情報提供ができるのではないでしょうか?

たとえば、脳梗塞の再発予防のために以下のような処方を受けている患者からの相談事例を考えてみます。

【処方内容】
クロピドグレル錠75mg 1日1回朝食後 1回1錠
アムロジピンOD錠5mg 1日1回朝食後 1回1錠
アトルバスタチン錠5mg 1日1回夕食後 1回1錠
【面談例】
薬剤師:今日も前回と同じで血圧とコレステロールを下げる薬と、こちらが血液をサラサラにする薬ですね。お変わりないですか?
患者:ええ・・・変わりはないんだけど、ずいぶん長くこれを飲んでいるでしょう。本屋さんで「歳を取ったら血圧は下げる必要がない」とか書いてある本を見たの。どうなのかしらね。
薬剤師:心配になってしまったんですね。今の血圧はどのくらいですか?
患者:さっき病院で測ったら130だったわ。
薬剤師:Aさんは、以前脳梗塞を起こしたので、その予防で薬を飲んでもらっています。血圧が高くなると、動脈硬化が進んで脳梗塞の危険性が高くなってしまうんです。ご年齢から考えると、血圧は140未満がよいと思いますので、今は薬を飲んでちょうどよいくらいだと思いますよ。
患者:薬をやめたら、やっぱり上がっちゃうのかしらね。
薬剤師:そうですね。下げる必要があるかどうかは、人それぞれの状態によるので、Aさんの場合は血圧の薬を飲んでいた方がよいと思いますよ。
患者:そうね。

こういった不安をお持ちの患者は、その後不安が解消されているか、服薬ができているかをフォローする必要があります。薬歴にも反映させておきましょう。

相談事例は、その後のフォローアップや指導へ繋げる
# 降圧の必要性の理解不足
S)
歳を取ったら降圧薬は必要ないという本を見た。飲む必要があるか?
O)
【処方内容】
クロピドグレル錠75mg 1日1回朝食後 1回1錠
アムロジピンOD錠5mg 1日1回朝食後 1回1錠
アトルバスタチン錠5mg 1日1回夕食後 1回1錠
【説明】
・脳梗塞の再発予防に重要なことを指導
・血圧は130程度であり現在ちょうどよいこと伝えた
A)
書店で情報を得て不安になっている。必要性を伝え理解された。
P)
服薬できているか確認。副作用のモニタリングをしっかり。

余裕があれば、脳梗塞に関する資料を使って指導をおこなうのもよいでしょう。実際に怠薬をしていた事例や、医師からも説明が望ましい事例であれば、トレーシングレポートの対象にもなります。しっかりと必要性を理解して治療を続けられるよう、薬剤師として指導をおこなうことが大切です

まとめ

今回は、DO処方が続いている患者に対して薬剤師として関わりを持つための、3つのパターンをご紹介しました。DO処方だとしても、薬剤師として患者の服薬をサポートすることはできます。ぜひ、日々の業務の中で取り入れてみてください。

次回は、服薬指導を通じて「薬識」を高めることで、継続的な関わりが可能になるパターンをご紹介します。

 

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