【SOAP方式の薬歴例】風邪や感染症など短期間の服薬時に押さえたい指導ポイント

キャリア&スキル

調剤薬局に来局する患者のパターンとして、風邪症状などでの「一時的な服薬」も多いのではないでしょうか?
普段、薬を服用しない方だからこそ、正しい薬の使い方がよくわかっていないこともあるので、服用方法などについてしっかりと指導をしたいものです。
シリーズ5回目の本記事では、一時的な服薬のケースを3つ想定し、薬歴記載につなげていくための面談のコツをお伝えします。

一時的な服薬パターンの薬歴記載の悩み

「風邪をひいた」「感染症で抗菌薬を服用する」など、ふだんは服薬がないけれども一時的に服薬をするという場合には、次のようなお悩みがあると思います。

・体調が悪そうであまり長くは話ができない
・若い人だと、読めばわかる/調べればわかると言われてしまうこともある
・何を説明したらよいか、よくわからない

こういったお悩みを解消し、自信を持って薬剤師としての視点から関わりを持てるようになりましょう。

ケース1:頓服薬への指導と薬歴例

風邪、下痢、腹痛などで、一時的に服薬をするような場合、症状があるときに服用する「頓服薬」があることが多いでしょう。
どんな時にどの薬を飲めばよいか、1日に何回まで服用できるかなど、しっかり伝えなければなりません。「1日1回まで」と誤解して、十分に症状を抑えられないという可能性もあるためです。

では、下痢で受診したというケースを例に挙げてみます。極力あっさりと面談を終わらせると、以下のようになるでしょう。

【面談例】
薬剤師:今日は下痢止めと、整腸剤が出ています。
患者:はい。
薬剤師:記載の通りに服用し、悪化するようならまた受診して相談してください。
患者:わかりました。
【薬歴】
Before
# 下痢
S)
わかりました。
O)
【処方内容】
ロペラミドカプセル1mp 下痢時 1回1カプセル 20回分
ビオフェルミン錠剤 1回1錠 1日3回毎食後 7日分
AP)
症状の悪化あれば再受診を伝えた。

 

頓服薬の使い方がわかるように指導しましょう。

頓服薬でよく困るのは、以下のような点です。意識して、体調不良の中でもうまく調節できるように指導しましょう。
・いつまで使うのか?
・1日何回までか?
・何時間あければよいか?
・効果が足りない場合、1回の量を増やしてもよいか?

【面談例】
薬剤師:今日は、お腹の不調でしょうか?
患者:はい。くだしてて。
薬剤師:整腸剤を毎食後と、下痢のとき用に下痢止めが出ています。先生から1日何回までか聞いていますか?
患者:うーん…何も言っていなかったと思います。
薬剤師:では、1日2回までで使ってみてください。下痢がおさまっているときは、使わずに様子を見ましょう。悪化している感じがあればまた受診してください。
患者:わかりました。
【薬歴】
After
# 下痢時の薬剤調整
S)
わかりました。
O)
【処方内容】
ロペラミドカプセル1mp 下痢時 1回1カプセル 20回分
ビオフェルミン錠剤 1回1錠 1日3回毎食後 7日分
【説明事項】
ロペラミド→1日2回までで調整を指導
AP)
症状悪化あれば再受診を伝えた。
薬歴の記載内容としては大きく変わりはありませんが、患者が困ることなく自分で調節しながら療養できるような指導ができています。使い方がわからなかった場合、十分に服用できない、服用しすぎるなどの問題が生じてしまうでしょう。実際に療養するときのイメージをしながら、困りそうなポイントを考え、指導してみてください。

ケース2:抗菌薬が処方された場合の薬歴例

感染症の治療では、適切な抗菌薬を、必要な期間しっかり飲み切ることが大切です。治療の成功に関わるだけでなく、薬剤耐性対策にもなります。
とはいえ、「仕事があるから昼は飲んでいなかった」「熱が下がったから、途中でやめた」など、抗菌薬を指示通りに飲めていない患者は一定数います。薬剤師として、しっかりと説明するようにしましょう。

【面談例】
薬剤師:今日は、抗菌薬が2種類出ています。先生は症状について何か言っていましたか?
患者:風邪をこじらせて肺炎になりかけてるとか、言っていました。来週またチェックするみたいです。
薬剤師:肺炎なのですね。今回は、肺炎の原因になる細菌の増殖を抑えるために、抗菌薬が7日分出ています。細菌をしっかりやっつけるためにも、咳などの症状がなくなっても7日分飲み切るようにしてください。
患者:そうなんですね。最後まで飲みます。
薬剤師:咳止めや解熱剤については、自分で調節してよいという指示なので、症状に合わせて1日3回までの範囲で使ってください。
患者:咳止めと解熱剤は食後の方がいいですか?
薬剤師:とくに胃に負担のかかる薬ではないので、症状が気になるとき、食後に限らず服用して問題ありません。目安として4時間以上は間隔をあけてください。
患者:わかりました。
【薬歴】
# 肺炎治療薬の使用方法についての理解
S)
わかりました。
O)
【処方内容】
オーグメンチン配合錠250RS 1回1錠 1日3回毎食後 7日分
アモキシシリンカプセル250mg 1回1カプセル 1日3回毎食後 7日分
アストミン錠10mg 1回1錠 1日3回毎食後 7日分 咳症状に合わせて調節可
アセトアミノフェン錠500mg 1回1錠 1日3回毎食後 3日分 発熱なければ調節可
【説明事項】
抗菌薬2種類は飲みきりを指導。アストミン、アセトアミノフェンは1日3回まで・4時間以上あけての調節を指導。
AP)
来週再診予定あり。来局あれば状況確認。

必ず服用しなければならない薬、調節してよい薬についてしっかり把握してもらうことが、治療の成功に繋がります。抗菌薬が処方されている患者には、意識して指導してみてください。

ケース3:点眼薬を使用する場合の薬歴例

目のかゆみや痛みなどで点眼薬を使用する場合、何か指導はできているでしょうか?
点眼薬は、誰でも使い方がわかると思いがちです。しかし、意外と指導できる内容は多いので、点眼薬を処方された患者に対しての指導でぜひ実践してみてください。

点眼薬の場合は、「コンタクトを使用したまま点眼できるかどうか」「(複数種類ある場合)点眼の順番と間隔」を指導しましょう。
【面談例】
薬剤師:今日は、抗菌薬の成分が入った目薬が出ています。先生は何か言っていましたか?
患者:結膜炎になっちゃって。しばらくつけるようにと言ってました。
薬剤師:この目薬を、1日4回使用するという指示になってます。ふだん、コンタクトを使用していますか?
患者:はい。毎日つけてます。先生にはコンタクトの上から点眼したらダメって言われたんですけど、やっぱりダメですか。
薬剤師:目薬に含まれる防腐剤がレンズに吸着されて、目の表面にダメージを与えてしまうんです。なので、コンタクトの上からの使用はお勧めできません。
患者:そうですか…仕方ないですね。
薬剤師:ほかに何か目薬は使ってますか?
患者:PC作業で目が疲れたとき、市販のやつを使います。
薬剤師:他の目薬とは、10分くらいは間隔をあけるようにしてください。
患者:わかりました。
【薬歴】
# 点眼薬使用時のコンタクト装用不可
S)
ふだんはコンタクトをつけてます。先生にもダメだと言われました。
O)
【処方内容】
パタノール点眼液0.1% 1日4回 両目に点眼
【説明事項】
コンタクト装用時は使用できないこと、疲れ目の市販の目薬とは間隔あけること指導。
AP)
次回受診時、コンタクトの対応できているか聴取する。

外用薬の場合、あまり指導することがないなと困ってしまう方も多いでしょう。点眼薬で思わぬトラブルを招かないよう、指導してみてください。

まとめ

今回は、ふだん服薬がない患者が一時的に服薬するというパターンを想定して、面談や薬歴記載のコツをご紹介してきました。
それぞれのケースを通して、患者がどのような誤解をしやすいか、その上で症状や生活状況を聞き取り、適切な指導を行うことの重要性が見えてきたと思います。
実際に患者が使うことを想像しながら、服薬に困らないよう指導をしましょう。今回ご紹介した内容を実践していただければ幸いです。

 

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