日本の労働者の平均年収よりも一般的に高い傾向にある薬剤師の年収。しかし、薬剤師の中でも800万円を超える年収を稼ぐ人はそう多くありません。年収800万円を超えるためには、どうすればいいのでしょうか。
薬剤師で800万円稼ぐことはできる?

結論から言えば薬剤師が年収800万円稼ぐことは可能です。しかし、簡単に稼げるものではないことも現実です。後述しますが、薬剤師が年収800万円を稼ぐためには、管理薬剤師になったり、転職によって業種を変えたり、他の資格を取得してスキルアップしたりと、何らかの工夫をする必要があります。
国税庁の調査によれば、年収800万円以上の人は日本の労働者全体のおよそ4.9%とされ、決して多い数字ではありません。つまり、それだけの希少価値が求められる仕事だということです。専門知識やスキルを身につけることを意識しましょう。
薬剤師の平均年収はどれくらい?
厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和3年)」によれば、10人以上の規模の正社員で約580.5万円(賞与含む)となっています。賞与を含まない場合でも約484.3万円の年収があります。
これは、日本の労働者の平均年収である約368.9万円(賞与を含まない)と比べると、賞与がない場合でも100万円近くの差があります。薬剤師は決して年収が低い職業ではありませんが、800万円を稼ぐためにはやや少ないかもしれません。
薬剤師が800万円を稼ぐ方法
薬剤師が800万円を稼ぐのは不可能な話ではありませんが、そのためには一般的な薬剤師と比べて何らかの工夫をしなくてはなりません。
具体的には
- 管理薬剤師になる
- 転職で業種を変える
- 資格取得でスキルアップする
などが挙げられます。
1. 管理薬剤師に挑戦
年収800万円を稼げる薬剤師になる一つ目の方法として、管理薬剤師になるというものがあります。管理薬剤師とは、各店舗や拠点の管理業務を担う薬剤師のことを指し、一般の薬剤師がおこなう調剤・服薬指導・販売業務に加え、以下の業務をおこなうことが求められます。
- 管理業務
- 薬剤の適正な使用のための情報提供業務
- 薬局開設者への意見申述
- 副作用情報の収集・報告 など
人事院の2019年「職種別民間給与実態調査データ」によれば、一般薬剤師の平均月収が約37万円(平均年齢37歳)だったのに対し、管理薬剤師の平均月収は約50万円でした。これを年収に直すと一般薬剤師が444万円なのに対し、管理薬剤師は600万円です。
年収800万円を目指すのであれば、まず第一のステップとして管理薬剤師を目指すと良いでしょう。
また、管理薬剤師になるためには特別な資格や試験が必要なわけではありませんが「薬局での実務経験が5年以上ある」「認定薬剤師である」ことが推奨されており薬剤師としてのスキルを日々磨き上げていくことが求められます。
認定薬剤師については、「【努力と実力の証!】認定薬剤師になるための方法やメリット、おすすめ資格について解説」という記事で解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。

2. 転職をして業種チェンジをする
薬剤師というと病院や調剤薬局、ドラッグストアで働いているイメージが強いですが、その中でも病院やドラッグストアで勤務している場合、薬剤師として年収800万円を稼ぎ出すのは難しいと考えられます。
というのも病院では医師や看護師といった多職種の人も働いているため、薬剤師に800万円の給与を支払うことは難しい場合が多く、ドラックストアでは、原価率の低いOTC医薬品や化粧品を多く販売し利益を得るビジネスモデルを採用しているため、そもそも薬剤師が常駐している店舗が少ないことに加え、800万円の給与を支払ってでも薬剤師を雇いたいと考える企業が少ない場合が多いです。
これらを踏まえ薬剤師の中でも高収入である800万円を目指すのであれば、薬剤師の存在が必要不可欠な調剤薬局に勤めるのがおすすめです。
また、薬剤師で高収入を目指す場合、どうしても競争相手が多い都会などでは収入が低くなりがちなため、少し都会から離れた場所での就職が狙い目です。地方であっても交通の便が良ければ、休日には都会に遊びに行くこともできます。生活をする場所、お金を稼ぐ場所と遊ぶ場所ははっきり分けるというように、地方も視野に入れて転職活動をおこなうと良いでしょう。
他にも、製薬会社に勤めることで薬剤師免許を活かし、年収を上げることもできます。医薬品企業の平均年収は800万円を超えるところが少なくありません。管理者や製造販売責任者になることで、年収を増やせるケースがあります。
3. 資格を取得してスキルアップ
薬剤師資格だけでなく、プラスの資格を取得することでスキルアップを狙う方法もあります。例えば、認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取ることでスキルアップにつながります。資格を取得するだけで、業務内容が大きく変わらなくても年収がアップするケースや、資格取得のための補助を受けられる場合もあります。資格取得のために勉強をするということは、研究熱心な人材で会社としても確保したい、と思ってもらうことにも繋がります。
では、実際に薬剤師が取得できる資格はどのようなものがあるのでしょうか。以下で3つほどご紹介します。
研修認定薬剤師
研修認定薬剤師とは、質の高い薬剤師業務を遂行するため、自己研鑽した結果について一定の期間内に所定の単位を取得したことを申請、認定された薬剤師のことを指します。具体的には、倫理・基礎薬学・医療薬学・衛生薬学および薬事関連法規・制度などについて学ぶことが必要であり、時代に即した薬学的なケアをおこなえるようになることが目的です。研修認定薬剤師の資格は3年に1度の更新が必要であり、3年の間に30単位以上、各年で5単位以上取得していなくてはなりません。
外来がん治療認定薬剤師
外来がん治療認定薬剤師とは、日本臨床腫瘍薬学会(JASPO)による認定制度で、「外来がん治療を安全に施行するための知識・技能を習得した薬剤師」や「地域がん医療において、患者とその家族をトータルサポートできる薬剤師」の養成を目指して創設されました。毎年1回の認定試験があり、3年ごとに更新が必要です。薬剤師としての実務経験が3年以上あることのほか、JASPOが定めるがん領域の講習や研修を60単位以上履修し、外来がん患者のサポート事例を10例提出する必要があります。
小児薬物療法認定薬剤師
小児薬物療法認定薬剤師とは、小さい子どもを薬物治療するにあたって、一定レベル以上の能力と適正を持っている薬剤師のことを指します。小児薬物療法認定薬剤師になるには、「小児薬物療法研修会」における研修を終了し、試験に合格していること、および小児薬物療法認定薬剤師新規認定のためのレポートを提出し、合格していることの2つの要件を満たさなくてはなりません。また、3年ごとに規程の単位を取得し、更新する必要があります。
【番外編】現職で年収を上げる方法
では、転職せず病院やドラッグストアに勤めた状態で手軽に年収を上げるためには、どんな方法があるのでしょうか。ここでは、転職せずに年収を上げるための方法として「夜遅い時間のシフトを多めに入れる」「社内の評価制度の基準をクリアする」「ダブルワークを検討する」の3つの方法をご紹介します。
夜遅い時間のシフトを多めに入れる
22時以降や、夜勤などのシフトを多めに入れることで、深夜勤務手当をつけてもらう方法があります。夜間の救急対応が求められるため24時間営業している、といった薬局があれば、深夜勤務手当だけでも差がつきやすくなるでしょう。ただし、看護師などと同様に夜勤があると生活リズムを保つのが難しくなりますので、その点には十分注意が必要です。
社内の評価制度の基準をクリアする
社内の評価制度の基準をクリアすることで順当に昇給していき、年収を上げる方法です。転職など環境を変えることなく年収をアップする最も手堅い方法とも言えるでしょう。特に、店舗の増収につながるような実績を出すことが重要です。運営やマーケティングの知識を身につけることも視野に入れると良いでしょう。
ダブルワークを検討する
2〜3店舗をかけもちするなど、ダブルワークをおこなうことで年収をアップする方法があります。実際に薬剤師の方で休みの日には別の薬局で働いている方もいれば、ライター業のような自宅でできる仕事をしている方もいらっしゃるようです。
なお、管理薬剤師は薬事に関わる兼業が薬機法によって禁止されていますので注意するようにしましょう。
年収800万円を目指して転職するなら
薬剤師でも、年収800万円を超える収入を得ることは不可能ではありません。薬剤師は日本の労働者の平均年収から比べるともともと高収入であり、専門知識やスキルを身につけることでさらなるステップアップも望めます。
年収800万円を目指すなら、管理薬剤師になったり、資格を取得してスキルアップしたりすることで自身の市場価値を高めておくことが必要です。また転職によって業種を変えるなどの方法もあります。今よりも年収アップするために、今の自分にできること、今後の自分がやりたいこと、など整理して転職活動をおこないましょう。まずは調査として、どんな条件でどれくらいの仕事があるのか探してみるところから始めてもよいかもしれません。

