特定薬剤管理指導加算3を知るべき理由とその重要性

最新薬剤師ニュース

2024年6月の調剤報酬改定で特定薬剤管理指導加算3「イ」・「ロ」が新設されました。みなさんの薬局ではきちんと算定できていますか?特定薬剤管理指導加算3の算定要件を理解し、適切な指導を実施することで患者さんの満足度の向上と、薬局の収益改善につながります。今回は特定薬剤管理指導加算3について解説します。2024年10月から開始されている長期収載品の選定療養の仕組みにも関わってくるため、しっかり復習しましょう。

特定薬剤管理指導加算3の背景と目的

特定薬剤管理指導加算3は、服薬管理指導料やかかりつけ薬剤師指導料の加算に関わる点数です。薬局薬剤師が地域で「かかりつけ機能」を発揮し、業務を対物から対人へとシフトさせる評価として新設されました。この加算は、服薬指導の質を向上させることを目的とし、単なる説明ではなく、患者さんの個別ニーズに合わせた指導が重要となってきます。

特定薬剤管理指導加算3の原文

特定薬剤管理指導加算3は、患者さんに対して特に丁寧で重点的な説明が必要な場合に算定でき、「イ」と「ロ」に区分されています。

調剤を行う医薬品を患者が選択するために必要な説明及び指導を行った「イ」又は「ロ」に掲げる場合には、特定薬剤管理指導加算3として、患者1人につき当該品目に関して最初に処方された1回に限り、5点を所定点数に加算する。
「イ」: 特に安全性に関する説明が必要な場合として当該医薬品の医薬品リスク管理計画に基づき製造販売業者が作成した当該医薬品に係る安全管理等に関する資料を当該患者に対して最初に用いた場合
「ロ」 :調剤前に医薬品の選択に係る情報が特に必要な患者に説明及び指導を行った場合
参考:厚生労働省 別表第三 調剤報酬点数表 
最初の1回は、これまで継続して該当薬剤を使用している患者さんも保険薬剤師が重点的な指導を必要と認めた場合は初回に限り算定可能。

参考:疑義解釈資料の送付について(その8) 厚生労働省 令和6年6月18日

これまで、特定薬剤管理指導加算3を算定していなかった薬局もRMP等の資料を使い、しっかり説明することで算定可能です。点数としては少ないかもしれないですが、算定機会は多いと思います。

次からは特定薬剤管理指導加算3「イ」、「ロ」の算定要件を詳しく見ていきましょう。それぞれの算定要件を理解した上で、適切な服薬指導を行い、点数を算定しましょう。

特定薬剤管理指導加算3の算定要件

特定薬剤管理指導加算3の算定要件と点数は以下の通りです。特定薬剤管理指導加算3

参考:厚生労働省 別添3 調剤報酬点数表に関する事項

区分「イ」について、必要な資材を使い患者さんに情報提供することで、より服薬指導の内容が充実し患者さんの満足度の向上にも繋がります。
例:タリージェの指導:RMPの一環として作成された患者さん向け資材を用いて薬の作用・服用方法・副作用(潜在的リスク)を説明した。


区分「ロ」について、選定療養の説明をした結果、先発医薬品を選択しても後発医薬品を選択しても算定可能です。
例:選定療養対象の先発医薬品と後発医薬品の違いを説明し、患者さんが先発医薬品を選択した。

選定療養の対象となる先発医薬品については、厚生労働省のホームページで確認ができます。長期収載品の選定療養について詳しく知りたい方はこちら

薬剤服用歴・レセプトへの記載事項

特定薬剤管理指導3を算定する際にはどのような注意点が必要か確認していきましょう。

区分 薬剤服用歴 レセプト摘要欄
「イ」RMPなど 指導内容の要点を記載 特になし
「ロ」選定療養 対象医薬品を記載 特になし
「ロ」供給問題 対象医薬品を記載 対象医薬品を記載

薬剤服用歴には基本的に指導の内容の要点や対象医薬品を記載しなければなりません。レセプトについては、供給問題で特定薬剤管理指導加算3「ロ」を算定する際に、確保できなかった薬剤を記載することとなっています。

こんなときは算定できる?Q&A

Q1:特定薬剤管理指導加算3「イ」、「ロ」は1回の処方箋受付で同時に算定できる?
A1:それぞれの算定要件を満たせば同時に算定できます。  
Q2:特定薬剤管理指導加算3「イ」について、RMPがない医薬品、もしくはRMPの策定・実施が解除された医薬品では算定できないのか?
A2:いずれの場合も算定不可。RMPは医薬品医療機器総合機構のホームページで最新の情報を確認して指導するようにしましょう。
Q3:特定薬剤管理指導加算1と特定薬剤管理指導加算3は同時に算定できる?
A3:同時に条件を満たせば2つとも算定可能です。
Q4:特定薬剤管理指導加算3「ロ」について、選定療養対象の先発品が2種類出ているときに別々に算定できる?
A4:不可。特定薬剤管理指導加算3は受付1回につき1回の算定になります。同じようにRMPを用いて複数の医薬品を同じ受付時点で説明をしても算定できる回数は1回です。

参考:疑義解釈資料の送付について(その1) 厚生労働省 令和6年3月28日
  :厚生労働省 別添3 調剤報酬点数表に関する事項

医薬品リスク管理計画(RMP)とは?

RMPは「開発」「審査」「市販後」の一連のリスク管理をひとつにまとめた文書です。治験時の症例数は限られているため、添付文書には載せられない副作用や情報があります。RMPは既に確認されたリスクだけでなく、潜在的リスクや不足情報が記載されています。

以下にRMPに記載されているリスクを示します。

安全性検討事項 内容
重要な特定されたリスク 治験時や市販後に確認されている副作用
重要な潜在的リスク 関連は疑わしいけど、確認が十分でない有害事象
重要な不足情報 高齢者や小児など情報が不足している条件

RMPには上記3つのリスクに対し、どのように「情報収集」をするのか、どのように「情報提供」するのかが記載されています。「情報収集」は副作用症例の収集など、現場から企業に対して報告をすることで、「情報提供」は患者向け医薬品ガイドなどを使い患者さんへ情報提供をしっかり行いリスク最小化活動を行うことです。RMPは独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページに掲載されています。

薬剤師に求められている対応は、RMPに記載されている情報を確認し企業へ副作用の報告をしたり、患者さん向け資材を活用しリスク最小化を行うことです。まずは、どんな内容が記載されているかRMPを確認しましょう。

参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 医薬品リスク管理計画
  :独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 3分でわかる!RMP講座

まとめ

今回は特定薬剤管理指導加算3についてまとめました。RMPの情報を確認し、それに基づいた服薬指導を行うことで、患者さんの満足度向上が期待できます。また、医薬品の出荷調整や選定療養など、算定可能なタイミングを正しく理解し、取りこぼしなく算定することで、薬局の収益向上にもつながります。

特定薬剤管理指導加算3を確実に算定するためには、日々の情報収集やチーム内での情報共有が重要です。薬局全体で取り組むことで、患者さんへのより良いサービス提供と経営面での安定を両立させましょう。

タイトルとURLをコピーしました