デイサービスで介護職として働いていた峯さん(仮名)は、『今よりもっと利用者一人ひとりとじっくり関わりたい』という思いから、未経験のグループホームへ転職しました。峯さんが初めての入所施設で感じた“やりがい”と“現実”とは──。
今回は、未経験でグループホーム(認知症対応型共同生活介護)の介護職に転職するメリット・デメリットを紹介します。
目次
未経験でグループホームに転職して感じた4つのメリット
峯さん(仮名) 24歳 男性
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利用者とじっくり関わる時間がある
峯さんは、ある女性利用者Aさんとのエピソードを教えてくれました。Aさんの特徴は次のとおりです。
- 要介護3
- 認知症状はあるがADLは自立している
- 認知症状が進んだことで、夕方から夜にかけて帰宅願望が出現するようになった
夜の20時頃、Aさんは落ち着かない様子で居室から出てくると「家に帰るね、さよなら。」と突然職員に告げて、ホームを出ようとすることがあったそうです。
Aさんの言うことを真っ向から否定するとプライドを傷つけてしまうかもしれません。そこで、『今日はもう遅いから泊っていけばいいよ』『朝ごはんも用意してるから』と声をかけます。 その後、30分くらい2人で話をすると、Aさんは徐々に落ち着いて『ありがとね。おやすみなさい』と言って部屋に帰られます。
介護職が適切な関わり方をすることで、Aさんの帰宅願望は落ち着いていくそうです。
「利用者さんとじっくり関わる時間を持てたことでやりがいを感じながら働けるようになった。」と、峯さんは笑顔で教えてくれました。
認知症ケアを基礎から学べる
峯さんによると、グループホームは認知症ケアを基礎から学べる職場だそうです。
毎日のように先輩や上司から認知症ケアのコツを教えてもらえますし、勉強会や研修で理論的な知識を学べます。現場で認知症の利用者さんと接しているので、学んだことをすぐ実践できるのも大きいですね。
認知症ケアのインプットとアウトプットができるグループホームは、認知症ケアの基礎が身につく施設だと峯さんは教えてくれました。
参考:厚生労働省|社保審-介護給付費分科会資料 認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)
正社員登用のチャンスが多い
峯さんは、前職のデイサービスを半年間程で退職したそうです。
前職を短期間で退職したこともあり、グループホームは契約社員での入社となりました。転職して間もない頃は『すぐ辞めるのでは?』と周囲に心配されていましたね(苦笑)。それでも、早番から夜勤までこなし業務も1人で担当できるようになった頃、正社員にならないかと声をかけていただきました。
利用者や家族、同僚や上司から信頼されたことで、正社員登用のチャンスが訪れたと言います。
「たとえ未経験で入職しても、真面目に働いていると契約社員から正社員に登用されるとわかったときは嬉しかったですね。」と峯さんは話してくれました。
グループホームには、未経験の方でも正社員登用を目指せるというメリットがあるようです。
スタッフ同士の絆が生まれやすい
グループホームの現場ならではの苦労について、峯さんは以下のように教えてくれました。
グループホームの介護職は、肉体的・精神的に大変な仕事です。認知症ケアを実践しながら、入浴やトイレ介助などの身体介助に毎日取り組みます。しかもシフトは不規則です。
一方で、現場の苦労を知っているからこそスタッフ同士の仲が深まることがあるそうで次のように話してくれました。
「ある日、先輩職員が『峯さんは利用者と楽しそうに接しているところがいいね』と褒めてくれました。普段は厳しい先輩からそう言われたので、自分の自信になりましたね。また、夜勤で大変なことがあったときは、『あの利用者さんの対応は正直大変だよね、よくわかるよ』と別の同僚が労ってくれたこともありました。」
グループホームでは、お互いの苦労がわかるからこそ生まれる絆があるようです。
未経験でグループホームに転職してわかった3つのデメリット
ここまで、未経験でグループホームの介護職に転職するメリットを紹介してきました。次は、峯さんがデメリットや注意点と感じた出来事を紹介します。
認知症高齢者との関わりに戸惑うことも
入職して間もない頃、峯さんは男性利用者Bさんからの介助拒否にあったそうです。
Bさんは先輩職員や同僚の介助に拒否することはありません。ですが、私がトイレ介助や口腔ケアなどをしようとすると『お前じゃダメだ!』と拒否されてしまって…。私のせいで業務が止まってしまうのが周囲に迷惑をかけているようでつらかったです。
その後、先輩や上司のフォローをもらいながら根気よくBさんと接することで、峯さんに対する介助拒否はなくなったと峯さんは話してくれました。
未経験で入職した場合、認知症高齢者の対応に戸惑いを感じる場面があるようです。
シフトが不規則で心身への負担が大きい
峯さんのグループホームには、早番・日勤・遅番・夜勤という4つのシフトがあるそうです。
夜勤の勤務時間は16時半から翌日の9時半です。夜中も働くので、どうしても睡眠のリズムは崩れてしまいます。体力は人並み以上にあると思っていますが、体力的・精神的な負担はかかりますね。
峯さんは、この経験から心身を上手に休ませるポイントを3つ教えてくれました。
- 夜勤当日・夜勤明けの日を休息の時間にあてる
- 「夜勤明けの日」と「有給または公休」を併用して連休を作る
- 平日昼間の休みを有効活用する
ちなみに峯さんの息抜きは、平日昼間の人が少ない映画館で、ホラー映画を観ることだそうです。
自分に合った方法で心身を休ませてあげることが、グループホームの介護職を長く続けるコツだと思います。
身体介助で体を痛めやすい
グループホームには要介護度が重い方もいるそうです。
要介護4~5の方の身体介助は大変です。私は、入職して間もない頃に力任せの介護で腰を痛めてしまいました…
峯さんによると、利用者さんに合わせた介助ができると、自分も相手も楽になるそうです。
「未経験の方は、現場の先輩や上司に介助のコツや声のかけ方を教えてもらうのがいいです!繰り返し取り組めば、未経験の人も上手に介助できるようになりますよ。」と教えてくれました。
“力任せに介助しないこと”そして“先輩や上司に教わること”この2つが身体介助で体を痛めないポイントのようですね。
まとめ
今回は、未経験でグループホームへ転職した峯さんに、実際に感じたメリット・デメリットを伺いました。
最後に、これから介護職を目指す方や読者へのメッセージを訊いてみました。
私は利用者さんとじっくりと関わる機会を持てたことで、グループホームに転職してよかったと感じました。グループホームの介護職には大変なところもありますが、人と関わるのが好きで、相手の気持ちに寄り添える方にはとても向いている仕事だと思います。逆に、一人で黙々と作業するのが好きな人には少し大変かもしれません。少しでもグループホームに魅力を感じたら、ぜひ見学や職場体験などで現場の空気にふれて欲しいです。
今回の取材を通して、グループホームの介護職はやりがいを持って働ける仕事だとわかりました。転職を検討している方や介護職を志している方の参考になれば幸いです。
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