「給料が安い!」介護職8年目の介護士が待遇に悩んだときに実行したこと

要介護認定を受けた高齢者に適切な介護サービスを提供する「介護職」。
高齢化率が29%に達するなど高齢化が進行する現在の日本で、介護職の需要はますます高まっていくと考えられています。

しかし、現場で働く介護職の中には、自身の待遇に悩んでいる方が多いようです。

今回は、高齢者デイサービスセンターで介護職として働く滝本さん(仮名、31歳男性)に取材させていただき、ご自身の待遇に不満を感じた理由や不満を解消するために実行したことなどをお話していただきました。
参考:内閣府|令和6年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)

高齢者デイサービスセンターで働く介護職の滝本(仮名)さんの紹介

インタビュアー
今回はお時間をいただきありがとうございます。はじめに滝本さんの自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?

滝本さん
私は、高齢者デイサービスセンターで介護職に従事しています。担当業務は、利用者の送迎や現場の介助、レクリエーションの企画や実施などです。
前職は、特別養護老人ホームの介護職を3年ほど務めていました。子どもが生まれたことをきっかけに、夜勤のないデイサービスセンターに転職し今年で5年目になります。
家族構成は、同い年の妻と4歳の娘との3人家族です。

インタビュアー
どうして介護職になろうと思われたのですか?

滝本さん
大学生で就職について考えたとき、「自分は何か人の役に立つ仕事がしたいな」と思いました。そのとき、やってみたいと思った仕事が高齢者の介護職でした。
大学在籍中に、ホームヘルパー2級(現在の介護職員初任者研修)を取得し、大学卒業後すぐに特別養護老人ホームの介護職になりました。

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プロとしてはじめての現場で

インタビュアー
実際に現場で働かれてみていかがでしたか?

滝本さん
はじめの頃は、緊張しっぱなしでしたね。家族や親せきのおじいちゃんおばあちゃんに接するのと、仕事で入居者の方と接すのでは大きな違いがありました。
入居者の方は、私をプロの介護職として捉えているので、「相手の期待に応えなくては」「自分の責務を全うしなきゃ」とはじめの頃は、肩にすごく力が入っていたことを覚えています。

インタビュアー
その後、特別養護老人ホームや現在のデイサービスセンターで働かれてきて、いかがですか?

滝本さん
他の介護職の皆さんもおっしゃることですが、相手の方から「ありがとう」と感謝されることにやりがいを感じます。
必要な介助をしたり声掛けを行ったりしたときに、「親切にしてくれてありがとう」と言われると思わず笑顔になってしまいますね。

8年間のキャリアの中で「やりがいを感じたこと」「楽しいと思ったこと」

インタビュアー
介護職として8年のキャリアをお持ちですが、何か思い出深い出来事などはありましたか?

滝本さん
特に印象に残っているのは、「困難ケース」の解決にチーム全員で取り組んだことです。
対象者は、82歳の男性利用者さん(以下、Aさん)でした。認知症の影響やご自身の性格などもあり、感情のコントロールが難しくて、職員に暴言を言ったり暴力を振るったりする方でした。
当初は別の介護施設を利用していたのですが、暴言や暴力が原因で利用中止になってしまってウチのデイサービスを利用することになったんです。

インタビュアー
実際にAさんに関わってみていかがでしたか?

滝本さん
デイサービスを利用した一番の目的は「入浴すること」だったのですが、Aさんからは激しい入浴拒否がありました。「お前の言うことなんか聞くか!」と大声で怒鳴られたり激高して肩や腕を何度も叩かれたりしましたね。

インタビュアー
それは大変そうですね。

滝本さん
はい。「病気だから仕方ない」「仕事と割り切ろう」と思っても、なかなかうまくいきませんでした。それでも何とかやれたのは、同じ介護職の同僚や相談できる職員の存在があったからです。
誰かが暴言や暴力を受けたときも、Aさんが帰宅されてから皆でその介護職をフォローしていました。
また、「Aさんにとって適切なケアは何だろう?」「どうしたら入浴してもらえるかな?」「Aさんの趣味や好きなことは何だろう?」と皆で意見を出し合いました。

インタビュアー
すてきな協力関係ですね。最終的にAさんはどうされたのですか?

滝本さん
Aさんが通所開始2か月目のある利用日に、「風呂が沸いたのか?そうか、入ってみるか」とあっさり入浴されました。
「Aさんと信頼関係が作れたからだね」「うまくいくときは、こんなもんなんだね」と、周りのスタッフと呆れるように笑ったことを覚えています(苦笑)

働きがいを感じていた職場に不満を感じた理由は?

インタビュアー
「お話をお伺いしていると、協力し合える職場の方と順調なキャリアを歩まれているように見えます。その中で何か不満があったのでしょうか?」

滝本さん
利用者さんと接する日々には充実感がありましたが、待遇に納得できませんでした。
当時の私の給料は、手取りで15万円~16万円の間くらいで、賞与は年2回必ず支給されていましたが、合計金額は基本給の2ヶ月分でした。

贅沢を言うなと怒られるかもしれません。ですが、日々の生活費やローンの支払い、子どもの教育資金や将来に向けての貯金などを考えると、法人からの給料だけでは生活が苦しいのは事実でした。
子どもが保育園に通えることが決まると、私の妻もパート先を見つけて働いてくれました。今も夫婦共働きで家計を支えています。

介護の仕事にはやりがいを感じていましたが、どうしても待遇だけには納得できませんでした。

待遇の不満を解消するために滝本さんが実行したこと

滝本さんが待遇に関して不満を感じてから、どのような行動を取られたのかをお伺いしました。滝本さんは、以下の3つの行動を実行したそうです。

  1. 今の職場で待遇アップにつながる方法を考えて実行する
  2. インターネットや人脈を使って自分に合う求人を探す
  3. 転職サイトに登録して担当者に探してもらう

今の職場で待遇アップにつながる方法を考えて実行する

滝本さん
自分の介助技術やコミュニケーションスキルを磨いて、利用者に喜ばれるサービスを提供する。そうすることで、上司や法人からの評価を高めて、自分の待遇アップにつなげようと考えました。
具体的には、「体験利用者」の担当に立候補するようにしました。体験利用者の担当は、体験利用者が一日を不安少なく過ごしながら、どのような介護施設か把握できるように、コミュニケーションや日中の介助を担当する職員です。

担当の介護職が、体験利用者に喜ばれるような介護サービスを提供できれば、その後の新規契約につながるでしょう。そして「体験利用者への滝本の関わりがよかった」と上司や管理者に評価されれば、私の待遇にプラスの影響があると考えました。

「利用者に喜ばれる介護サービスを提供すれば、デイサービスの稼働率アップや新規利用者の増加も期待できる。そうすれば自分の評価も高まるはず。そのときまで自分にできることをやろう!」
これが、私が不満を解消するために考えた1つ目の方法です。

インターネットや人脈を使って自分に合う求人を探す

滝本さん
自分の知識や経験を磨いても、必ず待遇アップにつながるとは考えていませんでした。
デイサービスに通ってくれる利用者さんは施設に入所されたりします。デイサービスの売上はアップダウンを繰り返すだろうと思ったからです。
だから、インターネットで介護施設のホームページの求人欄を閲覧したり、介護職の友人や知り合に「介護職が抜けて困っている所はない?」と聞いてみたりしましたね。
良い条件の求人は、求人サイトやハローワークに掲載されると競争が激しくなります。良い求人があれば、外部に向けて掲載される前に抑えておきたいと考えて実行しました。

転職サイトに登録して担当者に探してもらう

滝本さん
転職サイトも利用しました。転職サイトに登録したら、担当の方から連絡が来て「基本給や賞与」「勤務時間」などの希望を訊いてくれました。そして、自分の希望に合った介護施設を探してくれるという提案が何よりもありがたかったですね。
仕事では月曜日から土曜日までシフトに入っていて、休日や空いた時間は子育てに忙しかったので、とても助かりました。

滝本さんが悩んだ末に最終的に決めたこと、その結果は?

インタビュアー
ご自身の気持ちと向き合いご自身で解決方法を考えて取り組まれていたのですね。最終的に決めたこと、そしてその結果はどうなったのですか?

滝本さん
最終的には、転職せずに今の職場に勤めることに決めました。

インタビュアー
その決め手とは?

滝本さん
番の決め手は、今の仲間と通ってくれる利用者のために、もっと自分にできることをやりたいと思ったことです。
「娘さん元気か?」と会うたびに聞いてくれる女性利用者さん。「あんたの顔を見るために来てるんだ」と話してくれる男性利用者さん。
そんな利用者さんたちに、自分がまだできることがあるんじゃないか、できることをやり切ってから次の道を考えようと思いました。

インタビュアー
同僚の皆さんや利用者さんは喜ばれたのではないでしょうか。ですが、待遇の問題はどうされていくのでしょうか?

滝本さん
より多くの利用者さんが通いたくなる介護施設をつくるために、自分を高めていきたいと思います。新たな資格の取得や外部の研修や講習への参加も検討しています。現在の目標は、現場管理者や現場リーダーになって待遇を高めることですね。
自分の頑張りを周りにアピールしていく方法も、待遇アップには有効だと思います。ですが、それだけでは利用者・家族に役立つケアにつながらないかもしれません。
過去に、困難ケースにチーム一丸となって取り組んだように、介護職のやりがいや楽しさを私なりのやり方で後輩たちに伝えていけたら嬉しいですね。

自身の待遇に不満を抱えている介護職へ伝えたいこと

インタビュアー
本日はインタビューを受けてくださり、ありがとうございます。最後に、このインタビューを読んでいるご自身の待遇に不満を抱えている方に向けて、何か一言いただいてもよろしいでしょうか?

滝本さん
はい。自分の待遇に不満を感じると、自分に価値がないような感じがしたり毎日の仕事に虚しさを感じたりするかもしれません。
そんなときは、自分に合った働き方を探すのが成功の近道になると思います。
キャリアップを目指したり別の介護施設への転職を検討してみたり、ご自身にあった働き方をじっくりと考えてみてほしいです。

まとめ

今回は、高齢者デイサービスセンターの介護職として働かれている滝本さんにお話を伺いました。
介護職の皆さんもご自身の待遇に納得できないときがあるかもしれません。
そんなときは、ご自身の介護職としてやっていきたいことを改めて考えてみてはいかがでしょうか。
滝本さんは現在の職場に残り、ご自身のスキルを高めることで待遇アップを目指す道を選びました。
ですが、介護職の中には「介護業界の中で自分がどのくらいの価値があるのか知りたい」という方もいらっしゃるかと思います。
そんな時は転職サイトなどを活用し、次のキャリアアップへチャレンジしてみるのも、解決方法の一つとしておすすめです。

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