高齢化が進む現代では、健康志向が強くなっています。罹患した病気へダイレクトな働きかけを行う西洋医学だけでなく、病気となる前の心身の不調段階から治そうとアプローチする漢方医学への関心・ニーズが大きい状況のなか、薬剤師のキャリア形成の一環として漢方薬・生薬認定薬剤師資格に挑戦することも一案です。この記事では、漢方薬・生薬認定薬剤師について、認定条件や更新、仕事内容などの情報をお伝えします。
漢方薬・生薬認定薬剤師とは
漢方薬・生薬認定薬剤師とは、漢方薬や生薬についての深い知識を持ち、専門業務にあたるレベルの能力と適性を認定された薬剤師です。自然由来の原料で作られる漢方薬は、種類や組み合わせ方も膨大であり、また、服薬する人の体質や症状の出方によって調整が必要です。
さらに自然由来であっても副作用はあるため、服薬方法や飲み合わせに関しても適切な指導が欠かせず、漢方薬・生薬認定薬剤師にはその役割が期待されます。長生きのリスクも唱えられるほど高齢化社会となった日本では、原因不明の不調に悩まされる人も少なくありません。未病の段階で治療を行う漢方へのニーズはさらに高まっていくことが予想され、漢方に精通した漢方薬・生薬認定薬剤師の評価はますます上がっていくと考えられます。
薬剤師のキャリアアップとして注目の資格です。漢方薬・生薬認定薬剤師として一定の実績を重ねれば、漢方薬局を開いて独立することも視野に入れられるでしょう。
漢方薬・生薬認定薬剤師になるにはどうすれば良い?

漢方薬・生薬認定薬剤師になるためには、公益財団法人日本薬剤師研修センターおよび一般社団法人日本生薬学会が定めた過程を経て認定される必要があります。認定条件と認定までの流れ・更新方法や手数料などについて紹介します。
認定条件と認定までの流れ
認定を受けるには、以下の2つの認定条件を満たして認定申請します。認定は、公益財団法人日本薬剤師研修センター理事長と一般社団法人日本生薬学会長の両名によって行われます。
- 公益財団法人日本薬剤師研修センターおよび一般社団法人日本生薬学会主催の「漢方薬・生薬研修会(講義研修会9回・薬用植物園実習1回)」を修了
- 試問試験に合格(※受験資格は、上記の「漢方薬・生薬研修会」出席率80%以上、かつ薬用植物園実習レポート提出。受験資格は研修会の受講修了後2年間有効。)
なお、認定申請はPECS(薬剤師研修・認定電子システム)で行います。
更新手続きについて
漢方薬・生薬認定薬剤師の認定期間は3年であるため、継続するには3年ごとの更新手続きが必要です。更新条件として認定期間の3年の間に、漢方薬・生薬に関する研修を30単位以上取得しなければなりません。また、30単位以上を取得する際の原則として、毎年3単位以上を取得すること、必須研修を15単位含むことも求められます。更新手続きは、認定申請と同様、PECS(薬剤師研修・認定電子システム)から申請を行います。
申請手数料と更新手数料
認定申請には22,000円(税込)の審査料が必要です。認定されると、3年間有効な認定証が発行されます。更新申請の審査料も同額です。紛失等で認定証を再発行する場合には、3,300円(税込)の手数料がかかります。
漢方薬・生薬認定薬剤師の仕事内容は?
植物・鉱物など自然由来の生薬を組み合わせて作る漢方薬は、複数の症状へ働きかけるとされています。そうした漢方薬の特性を熟知した漢方薬・生薬認定薬剤師には、患者の症状や体質などに合わせた適切な漢方薬の処方、飲み合わせへの配慮などが求められます。服薬指導などの際に、患者により適した漢方薬への変更提案を医師に行う場合もあります。主な業務として、医師と連携しながら漢方薬の推進やアドバイスを行っていきます。
漢方薬・生薬認定薬剤師が活きる仕事
漢方薬・生薬認定薬剤師資格が活きるのは、漢方薬局、院内薬局、一般の保険薬局、ドラッグストアでの業務です。漢方薬局ではカウンセリングをして自ら処方を行うため裁量の大きな業務ができます。また、漢方専門医が在籍する病院やその処方箋の応需率が高い保険薬局でも活躍の場は広いでしょう。ドラッグストアではセルフメディケーションとして漢方薬を求める客への対応も考えられ、保険薬局併設の有無によらず知識が活かせます。
薬剤師が取得できるその他の認定資格

漢方薬・生薬認定薬剤師は、漢方薬・生薬の療法に関する専門知識、高度な技術を持つ薬剤師です。患者の症状・体質などに合わせた適切な処方、服薬指導ができるため、健康志向の強い現代で特に求められる人材となります。裁量権の大きな業務を目指すなら選択肢の1つでしょう。また、漢方薬・生薬認定薬剤師以外にも薬剤師が取れる資格は多数あります。薬剤師としてのキャリアアップのために、自分に適した資格を探してみましょう。


