抗がん剤などの重要な薬剤を服用する方に対しては、薬剤師としてしっかりと指導・フォローアップをしていきたいですよね。そのためには、面談を通してコミュニケーションをとること、薬歴を通してどの薬剤師がみても経緯がわかるようにしておくことが大切です。
シリーズ6回目の本記事では、「化学療法」をテーマに、面談や薬歴記載のコツをご紹介していきます。
化学療法中の患者へ関わる意義
調剤薬局においても、薬剤師が化学療法中の患者へ積極的に関わっていくことで、より安全で効果的な治療に貢献することができます。副作用のモニタリングや、支持療法をきちんとおこなえているかの確認など、自宅での患者の様子を把握するのは調剤薬局ならではの関わりです。
薬剤師の関わりを推進するため、令和2年より「特定薬剤管理指導加算2」が新設されました。化学療法中の患者の服用状況や副作用状況について確認をおこない、医療機関へ情報提供をし、その後患者が来局した際に算定できます。
トレーシングレポートなども活用しながら、積極的に化学療法中の患者にも関わっていきましょう。薬歴に必要な情報を漏れなく記載することで、調剤薬局内でのスムーズな情報伝達をすることも大切です。
ケース1:「本来とは違う使い方」の支持療法薬がある場合の薬歴例
化学療法の支持療法薬として処方されている薬は、飲み忘れなくしっかり飲んでもらいたいものです。ですが、一般的には支持療法薬ではない使い方をするため、薬情などを見て患者が勘違いをして「実は服用していなかった」というケースも少なくはありません。あらかじめ、薬効や必要な理由について指導をおこないましょう。
S)
抗菌薬は何のために飲むんですか?
O)
【処方内容】
ミノサイクリンCp(100) 1回1Cp 1日1回朝食後
ヘパリン類似物質油性クリーム100g 顔、体、手
ロコイドクリーム0.1% 5g 顔
マイザー軟膏0.05% 5g 体
【説明事項】
・ミノサイクリンは皮膚症状の悪化予防で使用するため毎日服用すること
・体、顔のステロイドの使い分け
A)
感染症ではないのにMINOを使うことに疑問を持っていたが、理解されたと考える。
P)
次回以降、服薬状況・症状の確認。
患者が誤解しないよう、丁寧な面談を意識しましょう。
ケース2:セルフケアが必要な化学療法をおこなっている患者の薬歴例
化学療法により皮膚障害が出るなどして、セルフケアが重要になるケースもあります。
ここでは、肝細胞がんに対してソラフェニブの内服治療を開始した方の面談やフォローアップ、そして薬歴の記載について考えてみましょう。
S)
食事から2時間あけるのね。
O)
【説明事項】
・ソラフェニブ:効果を維持するため食後2時間(目安8時・20時)で服用。(食事は5〜6時、18時と確認)
・HFSの症状をパンフレットで説明、保湿を励行
A)
初めての服用でありセルフケアの状況を確認する必要あり。
P)
◯月◯日ごろ電話でフォローアップ予定。
<◯月◯日 電話にて>
手のチクチク感出ている。保湿は1〜2回。→庭仕事などで手に圧力かけないこと、保湿回数増やすことを指導。
HFS出ており次回はステロイドの処方も必要かもしれない。トレーシングレポート送付。
・生活習慣についても記載する
化学療法中の患者に限りませんが、電話でフォローアップ・質問応需などをした場合は、時系列を意識して、追記する形での薬歴記載が望ましいです。
また、庭仕事をする、楽器の演奏をするなど、本人の生活習慣についても記載しておくと、指導に役立ちます。化学療法の副作用が本人のQOLにどの程度影響するのかは、生活習慣とも関わってくるためです。
まとめ
今回は、薬剤師として効果と安全性の担保にしっかり貢献したい「化学療法中の患者」との関わりを通して、よりよい薬歴を記載するためのポイントをご紹介しました。
あまり化学療法に関わったことのない薬剤師の方もいるかもしれませんが、特定薬剤管理指導加算などの算定も含め、薬剤師の介入で患者の治療に大きく貢献できるということを意識し、継続的なサポートと的確なコミュニケーションを行うことが大切です。
抗がん剤ごとの特徴に合った面談・指導・フォローを、自信を持っておこなえるよう、今回の記事を参考にしてみてください。
